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賽の河原に送られた大人

2010.09.29 (Wed)

この世界で復讐が許されないのなら
いや、まだ恨む事さえ知らない子供たちがこの場所へ送られてくる現実。

私は鬼として生まれ、鬼としての仕事をこなすべきだと教えられた。
数限りない子供たちはいつも涙を流し石を積み上げる。
その涙は何のためにあるべきものだったのか。

親より先に死んだ子供は罪だ

それが、この賽の河原の意義だった。
とはいえ誰しも望んで親より先に死んだとは限らない。
私はこの場所でできる事はないかと考えた。

子供たちの笑顔が見たいと思った。

追い詰められ生きる事をあきらめた子供
親に殺された子供
死にたくないと生きたいと願い戦ったが死した子供。

生きる事は辛い

だが、私は許せない事がひつだけ存在した。

親による殺人だ。

虐待などという一言で終わらせ、生きている親達は一生を通じその罪を背負う事はない。
驚くほど軽いものだ。

私は許せなかった。
死した彼らはここで親より先に死んだ罪を負わせられ、極楽浄土へ行くのはとても先になる。
無意味な石を積み上げ鬼に襲われ積み上げた石を壊される。

それは途方もない時間繰り返されるのだ。

「何故、私がここにいるの?」

どうしても、許せなかった。

「病気で死んだはず・・・」

この女は若い頃に生んだ子供を、躾と称し殴り続けベランダに縛りつけ真冬の寒空に放り出した。
その前後、女は五月蝿いと洗濯機に押し込めまわした事もあった。
息が出来ずもがき苦しむ姿を見続けた。
必死に親の理不尽な言葉を聞き続け要望に答えようとした。

待っていた結果は、食事も与えられずゴミ箱に押し込められ出られないように蓋をしガムテープで固定した。

この女はその蓋を開けたのは一週間後だった。

その罪を償ったというのは数年の実刑。
それだけで許されるというのだろうか。

「お前には、恨みを与えよう」

私は許さない。

恨みの気持ちなど持ち合わせていない小さな子供でも私が変わりに代弁しよう。

許さない。

「お前を許しはしない。極楽浄土にいけると思うな。女」



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11:53  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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子供

2010.09.17 (Fri)

私がこの河に着いたのは死んだからなんだろうという予測は出来た。
気がかりなのは、ここが賽の河原だという事だ。

「あの、私はいつ死んだのかわかります?」

船頭のおじいさんに聞いてみるが何も話してくれない。

賽の河原は確か親より先に死んだものがたどり着く場所。
親になった私なら着くはずがない。

・・・よね?

ということは、あの子は産まれなかったのかな?
でもそれなら、あの子だって一緒の船に乗ってても不思議じゃないんだけど。

「ここで降りなさい」

そういわれて降り立った賽の河原へようこそ!と書いてある立て看板。
小学校で作る紙の花で飾られ折り紙のわっか付き。
イメージと違うなぁ。

パンパンパンパン!!!

クラッカーのなる音が突然背後から。
驚いて身を伏せ耳をふさぐ。

なに?

「おめでとー!」

子供たちが沢山集まっていた。
ニコニコと笑った子供たちが口々におめでとうといって私に抱きついてくる。

何事?

すると、明らかに怖ろしい鬼が現れた。

これがあのうわさの鬼ですか?

めっちゃ怖いんですけど・・・。

「大丈夫だよ!鬼さん感激して泣いてたんだから」

からかうように鬼の体を叩いたり、上ったりして抱っこされたりする子供たち。
顔とは裏腹にとてもやさしい方のようだ。
確かに、先ほどからタオルで涙をぬぐい子供から渡されるティッシュで鼻をちーんってしている。

「あの、何がおめでとうなの?」

きょとんとした顔で聞いてみると、子供たちは大きな声で言った。

「出産おめでとう!」

その声が合図だった。

鬼が突然思いっきり突き飛ばして、私はあっという間に河の向こう側に吹っ飛ばされた。

(うわ!)

「あ!目が覚めた!!目を開けた!助かったぞ!」

(・・・あれ?なんか身動きが出来ない)

「吸引だ!新生児中秋治療室へ急げ!」

「はい!」

(へ?!新生児って・・・私が?!)

「母親の方は?!」

(わたしですってばー!)

「残念ながら・・・」

(鬼さん!なんかまちがってない?!)

”間違ってない お前の旦那が望んだ。お前さんは助からない。せめて生まれ変わりを祈ったんだ”

(そんなぁ!助けてよ!)

”無理だ。俺に出来るのはここまでだ。記憶はそのうちなくなる。そばにいてやれ”

(えぇーーー!!?)


10年後

「そういえば、パパ。ママに約束したでしょ?」
「約束?」
「そう!10年経ったらプレゼントしてくれるって!」
「・・・え?」
「お姫様ベッド!!ほしいって言ったじゃん!」
「お前、何でそれを・・・」
「あ・・・しまった」

記憶は薄れるどころか覚えている。
でも私はママとは違う。
ママの記憶を覚えているだけの存在。

ママは私を必死に生んだ事も覚えてる。

大好きよ!ママ!

パパにちゃんとねだりますから!まっかせといて!



08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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ジャンケンポン!

2010.04.04 (Sun)

「ジャンケンで負けたら俺の言うことなんでも聞けよ!」
「いいぜぇ!」

最初はぐー!ジャンケンポン!

「よし!俺の勝ち!」
「くっそぉー!負けた!」
「何でも言うこと聞くって約束だろ!じゃ、あいつムカつくから殺せよ」
「はぁ?!」
「あいつムカつくから殺せっていってんの!」
「なにいってんだよ!笑ってそんなこと・・・馬鹿じゃねーの!?」
「馬鹿?お前が馬鹿だろう。気に食わなかったら殺すのが常識だってしらねーのかよ!」
「んなわけないだろう!」
「はぁ?!俺んちの父ちゃんと母ちゃんはいつもそういってるんだよ!だから妹は死んだんだよ!」

これが、きっかけとなって騒ぎになった。
担任教師の彼が初めて泣いた事件の始まり。

小さなきっかけだったが、その場にいた子供たちが帰宅後両親に話したことで事件は発覚。
少年Aの妹は確かに姿を見かけない日々は続いていた。
気になっていた少年Aの妹の担任は何度も家庭訪問を繰り返すが門前払い。
病気だ。入院している。近くにいないなど曖昧な話ばかりを続け、それ以前に虐待の様子は見受けられなかった。

彼は担任としても心配していたが、初めて参観日に来た母親を見た際に違和感を感じたという。
その後の家庭訪問でも家の中の状況は異様な雰囲気だったと。
だがそれだけで、虐待を疑うことも出来ず確信を持つほどの何かはまったく無かった。
これといって目立った痣なども無くいつも綺麗な服を着て登校していたそうだ。
口数は少なくグループ行動は苦手で下を向いているような子だったため、引っ込み思案な部分を心配する程度だったが違和感は拭えなかったそうだ。
突然、学校を休み始めた際も最初は病欠。その後は入院など話は進んだ。
確かに入院はしていたそうだ。
お見舞いにも行き良くなるようにとクラスメイトで作った手紙などを届けた。

だが、自宅療養になった途端会うことが不可能となった。
理由は感染症が怖いから。
そういうわれると無理強いは出来なかった。

少年Aの発言から警察沙汰になり、家宅捜索後発見された押入れに押し込まれたダンボールの中から一部白骨化した遺体が発見。
少年Aの妹であるということが確認された。
両親は「まともに前を向いて話もしないから躾をしただけ。こんな性格じゃ生きていけない。なにしてもうまくできないのが悪い。育てているのは自分たちなのだから何しても問題は無い」と供述していると聞いた。

私はこの賽の河原に来て一年になる。
彼の話はいつも話しかけてくれるからここで聞いていた。
突然の事故で私は死んだ。
閻魔大王様らしき人にお願いして死ぬ前に化けて出てやった。
そうしたらわんわん泣いた彼を初めて見た。
どうにかこうにか「ごめんってば!」と繕って私はお化けとなった。
時折地上に降りて彼の側にいる。
ちゃんと話も聞いている。

だから、この子を待っていた。

「あなたね?」
「・・・え?」
船から下りたその子はクラスメイトからの手紙を握り締め穴があくほど見つめ泣いていた。
「お姉ちゃんの彼氏があなたの担任の先生なの。それで、話を聞いてるんだ」
「どんな?」
「とっても驚いたって。泣いているだろうから助けて欲しいって言われたの」
「先生が?」
「そう、先生が。お姉ちゃん、あなたと一緒にあの塔を作ろうと思ってるんだけどいいかな?」
「・・・一緒に?」
「・・・やっぱり、嫌かな・・・?」
「私、一緒にいていいの?」

泣きながら搾り出す声はどんどん小さくなり聞こえなくなった。
泣き虫の鬼がやってきて女の子を抱き上げ肩車をして歩き出した。
沢山の子供達が新たな仲間を歓迎した。
女の子は驚きを隠せない様子で泣き続けたが、最後には皆と笑えるようになった。

大丈夫だよ。
あの子は笑ってる。
死んじゃったけど、お化けになっても魂になっても笑えるようになったの。
みんなのお陰で。

安心してね。
08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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子供の幸せよりも大切なもの

2010.03.05 (Fri)

この場所で殆どの子供は親と言うものに対し恨みを持っている。
それは少なからず極楽浄土へ行くための弊害でしかなく未来永劫、苦しみ続ける種なのだ。

「何っいってるの?」
それが子供たちの決まった返事であり大きな鬼を泣かせる言葉。
子供たちにとって考えられない話は常識であり、非常識が常識なのだ。
僕が思うには。

「パパとママはいつも自分達が苦労するなんてありえない。
あんたが生まれてきたから生活が苦しくなったって言ってたよ。
だから、産むんじゃなかったって。そんなものじゃないの?」

「そうだよね。私のうちもそんな感じだったよ。よくわからないけど私が悪いみたい。
何が悪いのかわからないから聞いてみたけど、蹴られるし殴られるから
何か私は悪い事をしたんじゃないかなぁ?」

「言ってもらわないとわからないけど、ママとかパパって何も言わないよね。
すぐ殴ったりするだけでさ。あたりまえだよね、そんなのって」

「そうそう、当たり前。大人ってすぐに物を投げたりして怒鳴って叫んで
あんたがいるから私が苦労するとかっていってさあんたが言ったとおりにしないから。
言うとおりに動かないからとかいっぱい怒られるよね」

「何しても僕達が悪いんだよね。何が悪いのかもうわけわからないけど
僕達がいることが悪いことなんだろうね」

「私もそう思った。だから、ここにいるんだよ」

「そうだよね。だから、こんなところにいるんだよね」

「僕達は生まれたことが悪いことなんだよね」

きっと、私達が悪い子だからこの場所にいるんだよね。

小さすぎる子供たちにって親は神であり家は世界である。
そういう状況が続く中、大きくなった子供たちもまた抜け出せないまま世界は狭く
より暗いものになっている。
だが、この場所に来て世界が明るいことを知ったのにもかかわらず
許されることは無い自分達の理解し得ない罪を抱え
死ぬことすら許されず時を流れる。

「そんなに泣くなよ。子鬼が心配するよ、また」
「・・・・」
「とうちゃんなんだろう?」

僕は僕で、この場所に来て二十年になる。
迎えが来る気配すらない。
僕は、親によって殺されたが親より先に死んだ罪でここにきている。

償うつもりなど、ない。

「僕はもうすぐ、泡になると思うな」
「・・・罪にはならないはずだ」
「でも、泡になるってことは地獄行きだろう?知ってるんだよ」
「そうか・・・」

08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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成績順位

2010.03.04 (Thu)

進学校に通う僕にとって、僕を計るスケールは成績というものしかなかった。
テストごとに張り出される順位。
僕はその順位の一番下だった。
中学から私立に入りひたすら勉強したものの高校から成績が一気に落ちた。
何をやってもあがらなかったが諦めるつもりは無かった。
だが、清掃のため屋上に上がったときあまりに空が青くあまりに気持ち良さそうで飛べる気がした。

「自分で選んでここに着たのに泣いてるの?」
隣に来た僕よりは年上の女の人が座った。
「・・・」
「その制服ってあのすっごく頭のいい私立の学校だよね?私も近所に住んでたから知ってる」
「僕は!僕は頭良くなんか・・・ない!」
「そうなの?」
「そうだよ!だから・・・だからもう・・・」
「ふーん。私にとっては、君は十分頭のいい子に見えるんだけどね」
「テストの平均点が60点しかないんです!皆、もっと・・・あるし。順位だっていつも僕が一番下で・・・」

話し始めると悲しみと悔しさとが交じり合い言葉にならない感情が溢れ止まらなくなった。
僕は何故、こんな話をしているのかわからないけれど涙は溢れ続けた。

「平均点が60点?!」
驚いた声に僕は肩が震えた。
「そんなにあるのに落ち込んでるわけ?!」
驚きは違う方向のようでうつむいていた僕は女の人の顔を見た。
「うわ・・・次元が違うし。私なんて平均点とか考えたこと無いなぁ。赤点とってなければいいやってくらいでしか学生生活送ってこなかったし」
「・・・赤点?」
「・・・やだ、まさか赤点とかいわないの?今の子って」
「・・・はぁ・・・」
「そうやってさぁ、学校の中では一番したかもしれないけど私にとっては君はすごく上の存在なんだよね。成績だけで考えたとしてもさ、自分なりのキャパシティーはあるわけじゃない。いっぱい努力していっぱい頑張った結果なんでしょう?上ばかり見て歩いてたらそりゃ疲れるよ。だからって、私みたいに下ばかり見て落ち込んでても肩凝っちゃうよね。それに、上ばかり見ても下ばかり見ても先を見てないから躓いちゃう。こけたら痛いし、立ち上がるまで時間かかるじゃん?だから、前見てあるいてたら楽になるよ」
「・・・え?」
「上見た時に、学校の1位の人しかみてないでしょ?でも、世界中で見てみたら?その1位の人ってどのくらいすごいの?外国なんかみたら飛び級とかあって子供が大学生になってるときだってあるんでしょ?そんなやつと比べてなにがどうすごいとか比べられないよね?もう異世界人みたいな勢いじゃん?君は自分が一番下って落ち込んでるけど、違う格好のもっと偏差値が低いところから見たら君はとても頭のいい子になる。すっごく頭のいい子になるんだよ」
「・・・そっそうだけど・・・」
「勉強が出来て損はないと思うよ。でも勉強だけ出来ても意味がないんだよ。諦めるのが早かったね」
女の人はそういうといきなり持っていた水を僕にぶちまけた。

「冷たっ!!」
「馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!」
「なっなにを!!」
「てめーで死ぬんならその命私にくれればよかったのに!死にたくなんか無かったのに!!馬鹿やろう!!」

女の人はそのままそっぽを向いて歩き出した。
奥のほうで静かに石を積み上げる。

この賽の河原で僕も石を積み上げる。
同じ制服を着た1位だった学級委員の委員長と一緒に。
08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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愛された子供

2010.02.04 (Thu)

僕が死んだのは隣に住んでいる子が僕の家に来るようになったからだ。
僕はまだうまく話せないし、うまくコミュニケーションが取れない。
だってまだ、一歳にもなっていなかったのだから。

玄関のチャイムが鳴るとママがインターフォンを取った。
ママの顔はこの時間にチャイムがなると暗く沈んだ表情に変わっている。
話せなくても僕はわかっていた。
ママがこのチャイムを鳴らす主を嫌っていることを。

「子供預かって!じゃ!」
いつものように捲くし立てる声が聞こえた。
ママは「ちょっと!」と怒る声を出すものの足音は遠ざかっていく。
ヒールの高い靴をコツコツと鳴らし、ブランドのバッグや香水、服を身に纏い邪魔な子供を置いていく。
そう、邪魔な子供。

玄関の先にいる人はそういった。
僕は聞いたことがある。
「働けなくなるから困っている」と。

大きな鬼が僕を抱っこしてあやしてくれる。
とても暖かい。
でもちょっと下手。
だから僕は泣いた。
そうしたら、ママとパパより若い人が僕を抱っこしてあやしてくれる。
とっても上手な若いママ。
笑った顔が優しい若いパパ。
僕はこの賽の河原で新しい両親に出会った。

「だっていつもゆんちゃんのママはゆんちゃんを抱っこして可愛いっていうからゆんちゃん嫌いだった」
「ゆんちゃんがいなくなれば、僕のことを好きって言ってくれるもん」

これが僕がここにいる理由。

僕はママにいつも抱っこされていた。
ママはいつも僕を見て「大好き」といってくれた。
優しい笑顔でママは僕を見ていた。
そんなママが僕は大好きで、お仕事から帰ってきたパパが僕を抱っこしてあやしてくれるのが楽しみだった。

でも、僕はこの場所に来た。

ママはいつものように困り果てていたけれど、ママは電話をしてそれからあの子に話をしたんだ。
「今からお迎えが来るから。そこの人たちが預かってくれるの。ここでは一緒にいられないから」
「どうして?」
「こうやって一緒にいるのは良くないことなんだよ。君のママがちゃんと君を見ていなきゃダメなの」
「ママは僕の事いらないって言ってるから。だから、僕このおうちにいたい」
「それは・・・できないの。今から迎えに来る人のところに行くことが一番だから」

僕はうとうとしてその後覚えていない。
目が覚めたときは苦しくて苦しくて泣くこともできなかった。

「何してるの!!!」

そんな声が聞こえた気がする。

迎えに来た人たちが玄関のチャイムを鳴らしたとき、ママは寝ている僕を確認して玄関にいった。
あの子を連れて。
でもあの子は急いで僕の側に走ってきた。
ママたちの声が聞こえる。
あの子は僕に言ったんだ。

「お前がいなくなれば僕はいらない子じゃなくなる」

そう言って泣きながら僕の口にママが作ってくれたスタイを入れた。

「誰が悪いのかな?」
そうやって聞けるようになった僕は今十歳になる。
この場所で十歳。
泣き虫の鬼は聞くたびに泣き続ける。
答えてくれたことは一度も無い。
ただ、心配なのは僕の本当のママはとても泣き虫でとても心配性だった。
そんなママをいつもパパは僕をあやすみたいによしよしとしていた。
ママ、パパ、大丈夫かな・・・。
08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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何が悪いの?

2010.01.29 (Fri)

いつも怒られるんだ。
何をして僕が悪い。

あれをしろ。
これをしろ。

そういわれる度に、僕は従ってきた。
けれど、従ったところで僕が誉めらることは無い。

何で出来ないの。
どうして、こんな風にするの。

何をするにも、僕はいつも怒られるんだ。

僕はいつになったら「もういいよ」といってもらえるんだろう。
そう考えていた。
いつになったら、僕は怒られることなく自分で考えたとおりに
例えそれが失敗したとしても、自分の思いや考えで動くことが出来るんだろうって。
そんな日が来るのかなって僕は考えてた。

でも、そんな日は来なかった。

僕に自由は無い。
僕に意見は無い。

僕が僕のために生きることは、許されない世界だった。
僕は両親の思い通りに生きることが唯一あった道だった。
僕の思ったことや考えは邪魔だった。
言われるとおりに、言ったとおりに、完璧に出来れば彼らは満足だった。
僕という意思は必要なかったんだ。

「だから、お前はここにいるのか?」
「そうじゃないかな」
「何故、そんな平気な顔をしている」
「いつかこうなるってわかっていたから」
「そうか」
「僕は彼らの思い通りに動くマリオネットにはなれなかった。それだけだ」
「子供は操り人形になる必要はない」
「僕はその必要があった。靴下だろうと、洋服だろうと、僕の気持ちはどこにも存在しないんだ」
「恨むか?」
「いや。今は、一人になれたことが嬉しいから感謝してる」
「両親に殺されたというのに」
「それで、あの人たちが満足したのなら僕はやっとはじめて役に立ったんじゃないかな?」

子鬼が泣きながら僕の背中を叩き続けた。
どうして泣くの?と聞いたけれど、教えてくれなかった。
「なんでわかんないの!!」と泣き叫ぶだけだった。
どうしたらいいのか僕はわからなくて子鬼の頭を撫でたけれど、泣き止んでくれなかった。

僕は、やっぱりここでも怒られるのかもしれない。

どうしたらここにいることを認めてもらえるんだろう。
どうしたら「わかった」と言ってもらえるんだろう。
僕がいう言葉はどうしてそんなに怒られるんだろう。

もう、何も話したくない。

ずっと否定され続けて、考えて考えて出した答えでさえも否定される。
僕の何十時間という気持ちと悩みなど理解してもらったためしがない。
反論したところで、言い返される。
それから、言葉で押さえつけられる。

そうやって、言う事を聞くしかなくなる。

理解なんて出来ない。
僕にはわからないのだから。

だから、僕は僕個人というものを殺すしかないんだ。
08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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名前

2010.01.21 (Thu)

どういうつもりで僕にこんな名前をつけたんだろう。

「おまえ、不味いんだよ!」
「うわ!海草だよ!あいつ!」

そうやって、言われ続けた。

どういうつもりで私にこんな名前付けたんだろう。

「触ったー!お前が触ったらいてぇーんだよ!」
「毒!毒があるよ、あいつ!」
「触ったら最悪だぞ!」

パパ ママ なんで?

双子の私達は共に名前に泣いた。
小さい頃にそんなことなかったけれど小学校高学年になったある日。
先生が言ったんだ。
「当て字にしてもこんな字をつけるのねぇ。今のお母さんって」
笑いながら言った一言が、クラスに広まりあっというまに学校中に知れ渡った。

「心太って、ところてんじゃない。海月って、くらげじゃない。お母さん、海が好きなのかしらね?」

二人で船に乗って、二人で降りた。
着いた場所は「賽の河原」。

「泣くな」
その声は突然真後ろから聞こえた。
驚いた。
怖い顔をした鬼が立っている。
怖いのに僕達は動けなかった。
「双子か・・・」
鬼は溜息をつき、僕達二人を 私達二人を 抱き上げた。

「ほら、前を見ろ」

見てみると、子供たちがどろんこになりながら笑って遊んでいた。
手招きをして大きな声で呼んでいる。

「しんたくーん!なるみちゃーん!あそぼうーよー!!」

私達は 僕達は 笑って 二人で走った。
手を繋いで。

「ここにきてよかったね!誰も私達の漢字、しらないもん!!」

そういった私達 僕達の 言葉を聞いて、怖い顔をした鬼は泣き出した。
どうしてだか今もわからないけれどみんな「いつものことだって!」といって気にしていなかった。
ちょっと年上のお姉ちゃんが鬼さんを慰めている姿を見て、不思議に安心した。
鬼さんは一人じゃないってことに。

09:30  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(10)

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一緒に笑おうね

2010.01.12 (Tue)

そのきっかけに気づいたのが、他人だったからどうしようもない。
「なんか、だるいんだよね」
そういった私の顔を見て、行動を見て、言った。
「・・・つわりじゃないの?」
結婚して間もなく、私は子を授かった。
結婚まで異様にはやくことは進み、驚くような人生の始まり。
しばらくして子を宿した。
まったく無自覚だった自分にとっては青天の霹靂。
飛び上がって薬局に行き、簡易検査薬を買った。
陽性。
それは、嬉しさと同時に不安もこみ上げた。
母親になるってことだよね。

そうして、マタニティーライフはスタートした。
と、言いたいところだが不安最高潮。
既にマタニティーブルーだ。

「本当に?!」
それは、帰宅した夫の言葉。
喜んでおなかをさすった。
すごく喜んでいる顔。
青ざめている私。
もちろん、その不安を抱えるのは妊娠する前から自覚はあったのだが。

子供を生むことも育てることも不安。
嬉しいけれど同時に生まれる不安。
怖くて怖くてたまらない。
そんな感じ。
でも、会いたい。
笑って、抱いて、ぎゅっと抱きしめて、撫でてあげたい。

「ほら、お前さんはここでおりなさい」

でも、気がついたらここにいた。
「・・・漢字が読めない」
「賽の河原」
「さいのかわら?」
「そう」
「なんで・・・?」
「死に掛けてるんだって」
「え・・・死にたくないなぁ」
「戻ろう」
「僕はそっちに渡れない。君が戻ってこないと、二人ともそっちに渡ってしまったら死んじゃう」
「どこに戻るの?」
「僕の側」

私は迷っていた。
どういうわけか、賽の河原というのにもかかわらずこども達が楽しそうに笑っている声がしていたから。
怖そうな鬼というのもいなくて、すごく小さな鬼が必死に何かを叫んでいる。
でも、うまく聞き取れない。
一体、どうしてこんなところに。
何があったんだっけ?
わからない。
どうしよう。
どうしたらいいんだろう。
私が不安に思ったから?
私、やっぱり母親になんてなれないのかなぁ?

「おいで。戻ろう」

突然、私を掴んだ腕はとても暖かかった。

「・・・あれ?」
「気がついた?!」
「・・・えっと・・・」
「はぁ・・・心臓止まるかと思った。今、病院に向かってるから!動かないで!」
「・・・どうしたんだっけ?」
「階段からすっころんだんだよ!」

車の助手席でふとを覚ました私。
青ざめている夫。
必死に運転している。
確かに頭は痛い。
無意識におなかを撫でていた。
うん。
いる。
大丈夫。

だって、私、手を伸ばせなかったの。
両手とも、こどもと手を繋いでいたから。

「大丈夫ですよ、赤ちゃんもお母さんも。あら?・・・双子だわ」
「え?!」
私は笑って「やっぱりね」と答えた。
小さい鬼がいっていた言葉を思い出した。
でも、意味はわからないや。

靴を忘れないでってなんなんだろう?
08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(8)

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泣かないで

2009.12.15 (Tue)

「ママ、お願いがある。欲しいもの、決まったよ」
そういった僕は、もう息をするのがやっとだった。
でも、それを気づいて欲しくなかった。
こんな風にママにお願いしても、きっとコウノトリさんは
宅急便のように急いできてくれない。
ママは前、言ってた。

赤ちゃんは、ママのおなかにいるんだよって。

「妹が欲しい」

僕の最後の我侭。

もし、僕がいなくなって
泣き虫のママがずっと泣いていたら心配。
だから、寂しくないように。
ママの側にいてくれる、可愛い妹がいてくれたら。
そうしたらきっと、ママ笑ってくれるから。

泣かないで、ママ。
泣かないで、パパ。

僕、頑張った?
僕、頑張ったんだよ?

だから、僕が天使になってもちゃんと誉めてね。

「ここが、お前さんの降りるところだよ」
「ここ?」
「そうだ」

船を漕いでいるおじいさんが僕を降ろしてくれた。

「バイバイ」
「あぁ」

なんだか楽しそうな声がたくさん聞こえる。
みんな、お洋服着てる。
僕だけ、パジャマだ。

「もう、苦しくないだろう?」
上から聞こえた声に、僕は驚いた。
とっても怖い顔をした鬼がいた。
僕はびっくりして、しりもちをついた。
震えて、止まらない。

「こっちに来なさい。その格好じゃ遊びにくいからな」
そういって僕の手を握った鬼の手はとても暖かかった。
手を繋いだまま、随分歩いた。
みんな、笑いながら楽しそうに石を積み上げている。
何をしてるんだろう?

「この洋服を着なさい」
「あれ・・・、この服」
「お前のお母さんが渡したものだ」
「鬼さんに届けたの?」
「いや、ちゃんとお前さんが困らないようにとお母さんがお前に届けたんだよ」
「ママ、泣いてるかなぁ・・・」
「大丈夫だ」
「なんで?」
「ほら、あれを見てみなさい」

鬼さんが指差す先に見えるのは、大きなおなかをしたママの姿。

「あ!」
「そうだ、ママのおなかにはちゃんとコウノトリさんが運んできてくれたんだ」
「じゃぁ、寂しくないね」
「あぁ、大丈夫だ」
「僕はこれからどうするの?」
「あのおなかの中に、戻るんだよ」
「え?」

鬼さんは僕の背中をぽんと叩いた。
気が付くと僕は、暖かいドクンドクンと音が聞こえるところにいた。

「男の子ですね、お母さん。女の子だと思っていたのですが、どうも違ったようです」
「そう・・・ですか。もしかして、あの子。戻ってきてくれたのかしら?」
「案外、そうかもしれませんよ?」
08:00  |  賽の河原  |  Trackback(0)  |  Comment(8)

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