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運命がわかっても

2009.09.20 (Sun)

赤い糸は心臓に絡み付いて、体からすり抜けるように相手と繋がっている。
そういったのは誰だっただろう。
運命の赤い糸なんて信じていなかったし、見えていないものを信じろって言うほうが
無理だっていいたかったんだけどこの手芸屋に来て運命の糸を買った後
部屋の中で引っ掛けてある糸を取った瞬間、落としてしまった。

すると糸の先端が、するすると体を蛇のように絡み付いてきた。

「わっ!わわっ!!」
急いでぺしぺしと払おうとしてもちっとも離れずあっという間に胸のところまで来て
そのままするんと心臓に絡みついた。
不思議とその感覚がわかった。
糸は勝手にするすると部屋から出て行った。
もう方の先端はどこに行くのだろう。

糸は見ようと思えば見えるけど、気にしなければ見えなかった。
すっかり忘れていた頃目の前にあったのは私の糸と繋がっている先端部分を持った人物。
けれど彼の薬指には、指輪が付いてた。

運命の人といっても、必ずしもその人と幸せになれるとは書いてないし保証書もない。
見つけた後嬉しいと思っても、糸の言葉を鵜呑みにしているだけで
本当かどうかも疑ってしまう自分が居る。
同時に、疑いながらもこの人が運命の相手なんだという気持ちは増幅し歓喜してすぐ
落ち込んだ。

結局、募る思いは募るだけ募って実らないとわかっているのに
目の前でちょろちょろされたんじゃたまったもんじゃない。
移動要請が告知されていて、希望者ということが書いてあったので何も考えず
希望リストに名前を書きぶち込んでおいたのに
移動が決まった辞令の掲示板には、私と彼の名前が仲良く並んでいた。

なんでよ!と叫びたい気持ちと辞令を破ってちぎり捨てたい気持ちを必死に
コントロールしつつその彼が「よろしくね!」とさわやかな笑顔で立ち去った。
今更、やっぱり嫌だとはいえないかしら・・・。

どうして?!ということは、大抵続くもの。
「課長、奥さんとうまくいってないらしくて転勤希望出したらしいよぉ」
噂話は自分の糧といっていいほどの、噂好きの女はどこにでも居るが
そういうことをいうなよと思いつつも、自分の中で「チャンスがあるかな?」なんて一瞬考えた
自分をぶちのめしたいと心底思った。

どんな理由があろうと、妻帯者である。
うまくいこうがいくまいが妻帯者である。
関係のない人。
そう、糸なんて運命が実らなければそのうち千切れるわよ。

そう思ってた。

どうして?!は、まだ続くようで「せっかくだし、ご飯食べていかない?」と営業周りの後に
誘われた。
一応、上司であるため断りにくい。
ここで、「奥様がいらっしゃるのに」なんていうのも、そんな気が無いのに勘違いやろうだと
思われても困る。
そういう気持ちがあると勘ぐられてしまうではないか。
いや、ないわけじゃないわけじゃ・・・ないんだけど・・・
どっちだよ!っていわないでよ。もうぉ!

「そうそう、この前妹からこのチケット貰ったんだった。食べる?」
・・・妹?
「・・・なんですか?これ」
「さぁ、俺もよくわかんないけど妹はすごく美味しかったって言ってたよ」
「創作料理・・・かな?」
「ま、半額だし!おごるから!行こう行こう!」
ここまでくると断れないよねぇ・・・

流されている。

その言葉だけが延々と食事が終わるまで頭の中でダンスしていた。
「そういえばさぁ、噂とかって好き?」
うわっ・・・直球。
嫌な予感
「俺と奥さんがどうのとかって聞いたことある?」
それ聞くか?オイ・・・
私になんといえというんだよ!
えぇ。聞いてます不仲らしいですね!なんて笑っていえるかこんちくしょー!
「どうして結婚してることになってるんだろ?」

・・・・・・・・は?

「え?」
「結婚してないのにさ、奥さんが居るってことになってるのが不思議で」
「・・・指輪されてるじゃないですか」
「これ?お守り。よくわかんないけど、妹がつけとけって五月蝿いからつけてる」
「左手の薬指につけたんじゃぁエンゲージリングに見えますよ・・・」
「結婚指輪って事?」
「はい」
「そっかぁ・・・」
「それに課長、デスクに写真置いてらっしゃるじゃないですか。お子さんとの写真」
「お子さん?!」
「・・・違うんですか?」
「あれは、妹だよ!」
「えぇ?!妹さんなんですか?!だってどうみても、小学生ですよ!?」

青天の霹靂といいたかったが、外は大雨。

世の中には知らないことが沢山あると思ったが、囚われすぎた常識を逸脱した人間が
目の前に居るとそれはとんでもない世界の始まりに感じた。

「親が再婚したんだけど、親父の嫁さんとしてきた人が俺より若いんだよね」
「・・・課長っておいくつでしたっけ?」
「30」
「お父様のお相手の方は?」
「23の時に嫁にきたかな」
「えぇ?!私より・・・若いんですね・・・」
「まぁ、二人のことだし別にいいかって思ったんだけど嫁さん若いから子供が生まれて。
俺の異母兄弟だね。家も改装してでかいから一人暮らしせずに実家に居るけど、その嫁さんが
随分子供生んだからね。写真の子は長女のミホ。この指輪は俺の誕生日にくれた」
「あぁ!わかった!」
「何が?」
「女の子ならきっとお兄ちゃんをとられたくないって思ったから、指輪を渡したんですよ」
「どういうこと?」

鈍いなこいつは!

「ご両親は結婚指輪をなさっていませんか?」
「してる」
「どうしてしているのかきっと妹さんは聞かれたんでしょう。それで、お兄ちゃんと結婚するって意味を込めて妹さんは渡したんですよ」
「・・・あ、そういや言われた」
「言われたんですか?!なら気づくでしょう!」

上司だけど、ちょっと一発殴りたくなってきた。

「そっかぁ・・・全然気づかなかった」
「それじゃぁ彼女が出来ても絶対に妹さんに教えない方が良さそうですね。拗ねちゃいそうです」
「拗ねてた」
「え?!彼女さんいらっしゃるんですか?」
「作ろうと思ったから」
「・・・作ろうと思ってると、もしかして言ったんですか?」
「うん」
「・・・それは、拗ねますよ」
「どうしたらいいと思う?」

殴るんじゃなくて、会社の窓から吊るそうかな・・・逆さまにして。

「どうっていわれても・・・」
「うーん・・困ったなぁ」
「何でですか?」
「うち広いからさ。このまま遊びに来ないって言いたかったんだけど、ミホが怒りそうだ」
「誰にいうつもりなんですか?」
「え?君だけど」

ちょっと待て。何の話だ!

「まったくわけがわからないんですが、勘違いなら笑ってください。デートですかこれは」
「え?!そっそうだよ。俺、結構誘うの勇気いったんだけど」

運命の糸は、運命でも色々な運命かもしれない。

「あの、目的とか主語をちゃんと言いましょうね。相手に伝わらないから」
「そうかなぁ?大丈夫だよ」

にこやかに笑う彼を見て、やっぱり、一度何かで頭を叩いておいた方がいいかもしれないと
叩く武器を何にするかを考えていた。

「やっぱり伸縮性のない紐縛り付けて屋上から落としたほうがいいかも」
「何の話?!」
青ざめた課長の顔が目の前にあった。
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08:00  |  運命の赤い糸  |  Trackback(0)  |  Comment(12)

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手芸屋さんで運命を

2009.09.05 (Sat)

信じてみたっていいじゃないなんて夢のような話が
目の前で見えるのだから、私には夢ではない。
縁あって手芸屋を開くことができ、糸だけの専門店を開いた。
併設してレースと端切れも最近は売り始めた。

手作りというのが意外と多くなってきたこの頃。
どういうわけか、とても糸が売れる。
その糸の名前は運命の糸。
もちろん、赤なんだけど。

まじないの類なのか、その糸を買って小指に結んでいる学生が増えてきた。
でも、彼女達には赤い糸はもう既に付いている。
見えていないだけで。

私には見えるの。
その糸がずっとずっと絡まってあちこちに引っかかりながらも
繋がったその先には運命の人がいることを。
必ずしも皆その運命にたどり着けずにいる。
それでも幸せそうな顔をして歩いているの。

不思議な現象はここから。
糸は勝手にちぎれ、そして相手の指から千切れた先に結び合うの。
そっと寄り添うようにするすると絡み合って確かめて綺麗な玉結びが出来るのよ。
赤ちゃんのときから小指には糸がある。
でもキラキラと細い糸。
まだ、赤くないの。
大きくなっていくうちに段々と赤くなっていく。

そして運命を共にする相手になるだけ近づけるようにと
糸は努力をする。

がんばって
がんばって

努力する。

けれど、人は気づかずに自分で引きちぎることもあるの。
その後絡みつくものが無いからずっと流れ続けてるの。

糸が赤い理由って知ってる?

小指に時々、痛みが走ることはない?
何もないのに急に痛くなることってない?
08:00  |  運命の赤い糸  |  Trackback(0)  |  Comment(10)

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