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王子の価値観とその人生

2010.09.12 (Sun)

ある国の王子は母親と一緒に暮らしていました。
小さな王子を立派な王様にしたと思った母親は、金貨を一枚王子に渡しました。

「この金貨一枚でよい暮らしが出来るように考えてごらん」

王子は考えながら街を歩きました。
すると、大きな袋に何かいれ中のものを大切そうに扱う男に出会いました。

「その袋はなんですか?」

王子は興味津々で聞いてみると男はやさしく笑って「猫ですよ」と答えた。
王子は猫が大好きでした。
「見せてもらえますか?」
「どうぞ」
男はそっと袋から猫を出して王子に抱かせました。
それは今まで見たことのない綺麗な毛並みをした猫でした。
猫と王子は妙に相性が良くとても仲良くなりました。

王子は迷いました。

この猫を金貨で譲ってほしいなどというのは失礼だろうかと。
男にとっても大切な猫であることは変わりません。
王子は小さな声で言いました。

「あの・・・この猫大切にします。とっても大切に育てますから譲ってもらえませんか?」

王子の言葉に男は驚きました。
男はしばし悩みこういいました。

「わかった。但し、条件がある。必ず幸せにしてあげてください。また、このあたりにきたらあわせてもらいたい」
「わかりました」

王子はお礼に金貨を渡しました。
男は驚きましたが、受け取ってくれと必死にお願いして猫を連れて帰りました。

猫をつれて帰った王子を見て母親は驚きました。

「猫?!猫なの?」
「うん!この子がいると僕は幸せになれるから!」
「うーん・・・ちゃんと面倒見られるの?」
「大丈夫だよ!」

母親は少々がっかりしました。
とはいえ、息子は猫を選んだのです。

母親は金貨をもう一枚渡しました。

「良く考えて使うのよ」

王子は悩みました。
そして猫に言いました。
「どうしよう?お母さんは何でお金を渡すのかな?」
「王子にお金の使い方を覚えてほしいんでしょう」
「使い方ってなに?」
「お金は天から降ってくるものではありません。とっても苦労して大変な思いをして稼ぐものです。
湯水のようにあるわけではないのです。着ている服も食べている食事も何もかもが働いて得た対価なのです。
私を一緒に暮らすことを選んでくれましたが私も御飯を食べますのでお金はかかります」
「そっかー。街に行って御飯を買いに行こう」

王子は召使が用意してくれるのにもかかわらず御飯を買いに行きました。
猫のための御飯です。
なので猫は言いました。
「私の御飯はちゃんと用意していただけますからそのお金は使わないで」
「じゃぁどうする?」
「そうですね。お友達が欲しいのです。ヘビさんを飼ってはいただけませんか?」
「ヘビ?」
「はい、あのヘビ使いのヘビです」

よくみるとヘビはかなりひどい扱いを受けていました。

王子は迷わずヘビ使いと交渉しヘビを金貨と交換しました。
ヘビさんは泣きながら「助けてくれてありがとう」といいました。
怪我をしていたので手当てをしました。

家につれて帰ると母親は逃げ出してしまいました。

「ヘビ嫌い!!何考えてるの!!」

ヘビさんはもっとショックを受け王子の服の中に隠れてしまいました。
「泣かないで、ヘビさん。猫さんがお友達になりたいっていってたんだよ?」
「・・・ネコさん?」
「そう、ほら。この子だよ」
「あぁ、あなたが私を助けてくださったのですか」
「お願いはしましたがお金を出してくれたのは王子ですよ」
「あぁ、ありがとう。ありがとう」

王子は誰もいなくなった城に取り残されてしまったので旅に出ました。
とはいえ、まだ子供。
働くことすらもできません。

お腹がすいては村の人に頼んで御飯を分けてもらいました。
村人達は嫌な顔ひとつせず、進んで声をかけ御飯を食べさせてくれ
暖かいお風呂に入れおやつまで持たせてくれました。
ちゃんと猫とヘビの分の御飯もくれるのです。

王子はある日ポツリといいました。

「今まで助けてくれた人々は決して裕福じゃない。僕一人分を残しておけば楽になったのに助けてくれた。彼らに恩返しが出来ないのが悔しい」
それを聞いたヘビはいいました。

「王子、僕の国へ行きましょう。僕は家出してしまったけど本当は僕の父はヘビの王様なんです。きっと応じのためなら父はあの指輪を渡してくれます。行きましょう!」
「・・・うん」

王子はヘビの国へ向かいました。

そこでヘビの王様は事情を聞くと何も言わず頷き指輪を渡しました。
ヘビは言います。

「王子。これは何でも願いをかなえてくれる指輪です。決して人に渡してはいけません」
「わかった。その約束は必ず守るよ」

王子は願いました。

助けてくれた人々が幸せに笑って暮らせる街がここに出来ますように。

すると、王子がいた森の中に突如街が出来上がり今まで助けてくれた人々がいました。
王子はその国の王様になっていました。
王子は驚きました。

助けてくれた人々も驚いています。

王子はゆっくりと言いました。

今まで助けてくれた皆様に恩返しがしたくて魔法でここまでお連れしました。
突然のことで驚いたと思います。
皆さんが幸せに暮らせる街にしています。

王子はヘビさんが幸せに暮らせる部屋を作りました。
ネコさんが寂しくないように沢山の猫を迎え、ネコさんのお嫁さんを貰いました。

王子は一国の王として立派に育ち、沢山の人々の笑顔が耐えない素敵な街を作り上げました。

ちなみに、この国にはネコさんの元のご主人さんも招かれネコさんと一緒に遊べるようにしましたとさ。

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ねずみを追い出した英雄に

2010.09.07 (Tue)

市長はとても困っていた。

ねずみさんがとても増えてしまったのだ。
とてもじゃないが人間では対処しきれなくなった。

そこで迎え入れたのが「猫」だったのである。

町中にはなった猫はあっというまにねずみを退治してくれた。
市長は喜び猫達に御礼をしようと考えた。
大きなお屋敷を建て、朝と夕方の食事を人間に作らせるためのお手伝いさんを雇い
猫の世話をさせるようにした。

猫が幸せに暮らせるようにと考えて。

ところが、お給料や食料などはとても豪華なものだったためそれを目当てにくるお手伝いの人間しか実際はいなかったのだ。
可愛がるどころか部屋が汚れると人間は少しでも猫達が歩くとほうきで叩き
食事も人間の食べ残しを床に放り投げるだけ
そんな生活に猫達は嘆き悲しみ、心は荒んでいった。

そして、とうとう人間に攻撃を開始した。

次々とお手伝いは辞めていった。
猫達を世話する人間は誰一人としてやさしく接しなかった。

ある日、小さな娘がやってきた。
小さな娘はリジーナと名乗った。

いつもどおり猫達は人間が困ることをやり続けた。
だが、リジーナは嫌な顔ひとつせず掃除をした後、猫達に「さぁ、食べて」と
ニッコリ笑って豪華な食事を並べた。
猫達が食事をした後、一匹ずつひざの上に抱きほつれた毛を綺麗にブラッシングした。
老猫には沢山撫でてあげた。
怪我をしている猫には手厚く手当てをした。

猫達は驚いた。

そして思い出した。
感謝の気持ちを。

しかし、猫達の心には悲しい傷が居座っていた。
どうしてもその気持ちがぬぐえなかった。
リジーナに対してはとても感謝していたが、もしリジーナがいなくなってしまったら・・・
そう考えるとまた荒んだ生活に戻ってしまう。

猫達は泣きながらリジーナに頼んだ。

「どうか、どうかずっとこの屋敷にいておくれ」

幸せになるはずの市長が建てたお屋敷は猫達を不幸にしていたのだ。
それを知った市長は驚き、リジーナが一緒に住めるように部屋を改築。
猫達はリジーナと幸せに暮らしました。

猫達はリジーナにも幸せになって欲しいと王子様と会わせました。
そして王子はリジーナを一目で気に入りお嫁さんにしましたとさ。

08:00  |  昔話と童話の真実  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

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指名手配犯 ジャック

2010.09.04 (Sat)

とある、魔法の国に住んでいたちょっと気の強いふりをした鬼がいました。

その鬼はせっせと働きいろんな魔法を習得して暮らしを支えていました。
鬼には家族がいました。
小さな子鬼達が沢山いて奥さんはいつも子育てに奮闘。
食事の用意は鬼が頑張っていました。
奥さんは鬼さんが家事に協力してくれているのでとても助かっていました。

鬼さんの魔法は、もう失われた魔法で一族の唯一の生き残りでした。

ある日、お手伝いに来ているお手伝いさんが人間の子を見かけました。
「何をやっているんだい?」
「えっと・・・」
「ここはこわぁ~い人食い鬼がいるんだよ!絶対に来てはダメだ!」

そういって、お手伝いさんは人間の子供ジャックを脅しました。
本当は強いフリをしただけのやさしい鬼。
泣き虫の鬼さんです。

お手伝いさんは不安に思いました。
鬼さんの魔法は金やお金を生む魔法が多かったのです。
悪用する人間が知れば確実に鬼さん一家の危険が増大します。

とても心優しい鬼さんはとてもじゃないですが悪用する人間を追い出すようなことが出来ません。

ジャックはそれを知ってこっそり何度も豆の木に登りました。
豆の樹は偶然牛と交換してもらった魔法の豆から芽が出たものでした。
ジャックはジャックなりに生活を考えて牛がお乳を出さなくなったので、母親から牛を売ってこいといわれ通りすがりのおじさんに言われた魔法の豆と交換しました。
魔法の豆を母親に見せてもすぐに捨てられてしまい、そこからたった一日で伸びた豆の樹。
母親から怒られたジャックはどうにかお金が無いかと探していました。

その結果が、魔法の豆の木の上に住む鬼さんの魔法から生まれた金の卵を産む鶏やお金を盗むことでした。

鬼さんが必死になって魔法を使って何ヶ月もかけて作った金の卵を産む鶏が突然盗まれ
生活が出来なくなるので必死にお金を魔法で作りました。

それも盗まれてしまいました。

鬼さんは泣きました。

子鬼さんたちに飲ませるミルクが買えません。
お嫁さんにおいしい御飯を食べさせてあげることが出来なくなっていました。

「どうして、どうしてこんなことが。人間の匂いがするとは思っていたが・・・」

鬼さんは信じられない怒りを爆発させました。
ジャックを見つけたときにとんでもない魔法の力でジャックを追いかけ捕まえました。
お手伝いさんもこんな鬼さんを見たことがありません。
あまりの恐ろしさに隠れてしまいました。

「何で黙って盗んでいくんだ!!お前は俺が家族のために働いたものを盗みやがって!」
「うわぁぁあ!!ママ!ママ!斧を持ってきて!!」
「待て!!お前は俺の大切な家族を殺そうとしたも同然だ!生活のためなら盗んでもいいのか!」
「うわぁぁぁぁあああ!!」

ジャックは泣き叫びました。
怖くて怖くて叫ぶことしかしませんでした。

確かにジャックも生活がかかっていました。
とはいえ、魔法を盗む事が許されることはありません。

一度だけなら鬼さんも怒らなかったでしょう。

人間の世界でたった一つでも盗めば一生困ることの無い生活できるお金が手に入っているはずです。
しかし、欲が膨らみどんどんジャックを盗んでいきました。
ジャックの欲は止まることを知りませんでした。

どんどん、欲深くなり
どんどん、盗むことに抵抗がなくなりました。

泣いている鬼さんの家族のことなど微塵も考えていなかったのです。


ジャックは鬼さんの魔法で豆にされました。
ジャックの母親は悲鳴をあげその場から逃げていきました。
豆になったジャックは泣き続けました。

誰もこの小さな豆がジャックだとは気づきませんでした。
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ディック市長の不思議な猫

2010.09.03 (Fri)

孤児のディックが市長になった。
それは、たった一匹の不思議な猫がもたらした奇跡。

猫の名前は「マーク」という。

ディックが召使として住み込み働いていたお屋敷。
ご主人様の厚意で生き延びたディックは必死に働いた。
だが、与えられた屋根裏部屋はねずみが多くとてもひどい環境だった。

考えたディックは捨て猫を拾って、部屋で飼い始めねずみ退治をお願いした。

「なぁ、マーク。この部屋にいるねずみをどうにかしたいんだ。追い出してくれるかい?」
「んにゃ~ご」

マークは長い尻尾をピンと立てて喉を鳴らしながら返事をした。

ディックはマークの御飯を別に用意するほどの賃金は無いため、自分の分を半分あげ世話をした。
マークは立派に働いていた。
仕事に行っていたディックは驚いた。
ねずみが一匹もいなかったのだ。

「マーク!すごいじゃないか!どうやったんだ?」
「うみゃ!うにゃ~んにゃ。うみゃみゃんみゃ~」
「・・・うーん、よくわからないがいっぱい頑張ってくれたんだな!ありがとう!」

猫語で話すマークの言葉はディックには通じなかった。
マークはこう話していたのだ。

「ネズミさんにお願いして引っ越してもらったんだ。僕、話すことが出来るんだよ!ねずみさんと」

ディックもまさかねずみと話し合いをして出て行ってもらったなどとは思っておらず、退治したと考えていた。
ねずみ一家も、突然やってきた人間が気に食わなかったんだよと苦情を言っていたがマークはそれを黙っていた。

マークはディックの言うことをちゃんと聞いて毎日をすごした。
御飯もディックの分を貰っていることはわかっていた。
毎日食べ物を探し回っていた日々とは違い、風も雨も無い部屋で暖かく寝られる幸せと
人間の優しさがとても嬉しかったのだ。

ただ、マークは気になっていたことがあった。

ここ最近、見知らぬ人間がこの部屋に顔を出すのだ。
ディックのいない時間にだけ。
人間の言葉はわかるマークはなんとなく雰囲気を察し利用することを決めた。

ディックに恩返しをするために。

寝ているディックにマークは言った。

「僕はねずみさんを退治する猫として有名になればディックはお金持ちになって、このロンドンの市長にだってなれるんだ。だから、僕がお金を持ってくる。それまで、ここで待っててね」

朝起きるとマークはいなかった。
ディックは必死に探した。
だが、召使の仲間が新人の癖に猫を飼うなんて生意気だとマークを売り飛ばしてしまったのだと知った。
ディックは怒り狂いお屋敷を飛び出した。

泣きながら走るディックの耳に声が聞こえた。

「市長になれるんだよ。ディックだって、頑張ればなれるんだよ。待ってて」

それはどことなくマークの声に聞こえた。

数ヶ月たったある日、猫を買い取ったという船長がディックの元を訪れた。
「これが、売り上げのお金だよ」
それは驚くほど大金だった。
「これは・・・」
「あの猫はすごいな。ねずみをあっというまに退治してくれる。
偶然訪れた島でねずみが大発生して困っていた島民がいてな。
あの猫を紹介したら随分と気に入ってどうしても譲ってくれといって聞かないんだ。
そうしたら、こんな大金をくれたんだよ。あの猫は君の猫だ。これは、君のお金だよ」

マークはディックにお金を届けることが出来ました。

ディックは猫にあいたくてたまりませんでした。
猫にあうためにはその島に行くしかありません。

貰ったお金で必死に勉強をして市長になりました。
そしてやっとの思いで船を出すめどが立ちました。
当時の船長を探し出し、一緒に島まで行きました。

「マーク!!」

マークはディックのことを覚えていました。
駆け寄ってきたマークはだいぶ年老いていましたが、大切に扱われていました。
事情を説明すると島民は「もうねずみはこの島にはいません。なので、余生は一緒にいてあげてください」と穏やかに笑いマークをディックへ返した。

ディックは島民から貰ったお金で築き上げた地位とマークを大切に育ててくれたお礼を含め
島民に対しよりよい住まいを作ろうと必死に働きましたとさ。

ちなみに、マークは島中のねずみたちに「見つからないようにそっと住むんだよ」と耳打ちしただけでした。
08:00  |  昔話と童話の真実  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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セクハラの王様

2010.09.02 (Thu)

街中に現れたのは驚くような姿をした王様だった。

「なんとすばらしい服なんだ」

王様は理解できなかった。
理解したくなかったといったほうがいい。
だが、真実は残酷だった。

「愚か者には見えない布なんです」

王様の洋服は愚か者には見えない布で作られた。
突然現れた行商人の言葉を真に受けた王様は愚か者には見えない布で服を作らせたのだ。
行商人は大切な布を王様に見せた。
この国の支配者を引きずりおろす為に。

王様は贅沢三昧。
国民はあらゆるものを王様に奪われた。
大切な女や子供までも。

行商人の男は国の状態を見て驚いた。
なんとひどい国が存在しているのかと。
王様は布が見えていない様子だった。
そりゃそうだ。

愚か者であることは誰の目にもわかること。

「王様、マントだけお脱ぎください」

王様は困った。
見えていないのだ。

だが、誰にも見えていないなどと話していない。

「マントだけ・・・か?」
「はい」
「では脱がせろ」
「滅相もございません。王様がお召しになっているマントをわたくしのような者が触れません」
「・・・」

国民達の目は輝いていた。
それが自分に注がれているわけでは無いことはわかっていたが、それだけ纏っている服の布がすばらしいものだということがわかる。
馬鹿にしていた国民達は愚か者には見えない布が見えている。
自分には見えない現実。

王様は国民へこの服を披露するために開いたパレードで、自ら服が見えないことを証明してしまう可能性があることなど考えもしなかった。
国民は誰も見えていないだろうと思ったからだ。

「王様、如何なされましたか?国民はそのお召し物を何よりも見たがっております」

王様は自分が着ているものがどのような形をしているのかさえわからない。
触ることさえも躊躇う。

「王様?」

汗が額から頬へ伝う。

「いかがなさいましたか?」

手が震える。

「王様?」

思考が止まる。

「王様、このすばらしい服は見えていらっしゃいますか?」

それは全国民が見ている前での最後の王様の姿。
08:00  |  昔話と童話の真実  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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マッチ売りと少女

2010.09.01 (Wed)

マッチを売って生活をする。
そんな馬鹿げたようなことを父親は少女にさせていました。
凍えるような寒さの中を歩き続けどんなに頑張ってもマッチは売れませんでした。

「マッチを買っていただけませんか?」
通りを歩く人々に声をかけても冷たい空気に消されるように誰も振り向きはしませんでした。
「誰も買ってくれない。このままじゃ私は死ぬだけね」

日が落ち暗くなった道を歩きながら目に入るのは暖かな光に包まれた家庭の光景。
同じ年頃の子供はぬくぬくと綺麗な服を着て温かい食事を当たり前のように食べていました。

一度も味わったことの無い幸せ。

羨ましくてたまりませんでした。
妬ましい気持ちも同時に芽生えました。

得も言われぬ気持ちに売り物のマッチを一本擦って火をつけました。

「暖かい・・・」

なんと、暖かいことでしょう。
家にはマッチを売ってこなかったと殴りつける父親とそれに屈服する母親しか居ません。
誰も自分を守ってくれる存在は居ないのです。

「このままどこか遠くに行きたいな」

そんなことを思っても誰一人少女が存在していることを気にすることはありませんでした。
雪が降りしきる中、裸足で歩いていても誰一人気にかけないのです。
そんな人間がひしめき合う世界に愛想が尽きていました。

「全部燃えたらきっと暖かくなるかしら」

悪魔が微笑みかけた瞬間でした。
でもその悪魔を作ったのは誰なのでしょう。

どれだけ必死に頑張ってもマッチを買う人はいませんでした。
一度だけ買ってくれた若い旦那様がいましたが、このあたりの人間は見向きもしません。
毎日毎日
永遠と続く幸せとは程遠い毎日。

何のために生まれてきたのかさえ疑問に思う。
たった十歳の子供なのに。
そんなことを考えるようになっていました。

寒くて寒くてたまらなかった少女はどうしても暖かい火に当たりたくて
マッチで火をつけました。

暖炉用の薪が保管してある納屋に。
その火は瞬く間に広がり町中を覆い尽くしました。
冬とは思えないほどの暖かい火が少女の周りを取り囲みます。

「あぁ、なんて幸せなのかな」

悪魔は笑いました。

泣いているのに何故幸せと思うのかと問いました。

少女は言いました。

「私を見てくれたのはあなただけよ。それが嬉しかったの」

これが二人の恋の始まりでした。

「あなたのお名前は?」

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そんな靴で歩けるか!

2010.01.15 (Fri)

シンデレラという名前の娘がいた。
彼女は特に日々の日常に不満を抱いているわけでもなかったが、今現在だけは不満しかなかった。

「なんで、ガラスの靴にするのよ!」
「綺麗だからのぉ~」
「歩きづらいって気づくかない?!」
「そうかのぉ~?」
「自分で歩いてみなさいよ!!」
「体重が重いから無理じゃよ」
「私の体重なんで知ってんのよ!」
「知らないが、例え怪我してもわたしゃ痛くない」
「なっ!!!!」

殴り倒したい。
その言葉だけがシンデレラの頭を支配した。

その数時間前。

「今日の舞踏会は何を着ていこうかしら?」
「そうよ!王子は結婚相手を探しているのよ!念入りにしなくちゃ!」
「お母様、これいかがかしら?!」
「そうね!流行のドレスと独特なトレンドを合わせたいいデザインね!美容院の予約をしておいてよかったわ!」
「お姉さま、これ素敵でしょ?」
「どうしたの!?そのドレス!手に入らなかったのに!」
「ワンサイズ小さいのにしたら手に入ったから無理やりきたのよ!コルセットが苦しくて窒息しそうだけど」
「さぁ、お前達、行きましょう。ほーっほっほほっほ」

五月蝿い女の集団が出て行ってくれたことが、シンデレラにとって幸せだった。

あぁ、夕食の支度をせずに済むわ。
面倒なことばかり。
とりあえずご飯食べさせてもらえるし、その点に文句はないけれど
小言がなくなれば満点ね。
それにしても変わった王子様。
この村の女の中から嫁を探すなんて。
馬鹿にもほどがあるわ。
貧乏人が犇めき合って、どんぐりの背比べの生活をして
私のような存在と殆ど変わらない暮らしぶりで
変わるといえば身なりだけ。
後は、内に秘める強欲の度合いかしら。
私はどうでもいいわ。
あんな王子なんて。
どうせ、ろくなことないもの。
今の生活より安定しているなんて保証なんてない。
それこそ妻なんていう餌をぶら下げているだけで、何させられるかわからないじゃない。
とんでもない変態だったらどうするのよ。
毎晩、ベッドに縛ってくれなんて言い出したら。
いや、縛らせろなんていいはじめたらもっと最悪!
アイスピックをベッドの下に忍ばせておくしかないじゃない。
付き合ってみないとわからないのに、その期間がまったく無しで結婚よ?
ありえないって。
身売りじゃないんだから。

ぶつぶつと独り言を言いながら、シンデレラは寝床のキッチンに座っていた。
まさか自分が舞踏会に行くことになるとは思いもせず。

「お前さんを舞踏会にいかせてあげよう」
突然の声に驚いたシンデレラ。
「結構です」
勝手に入ってきた怪しい人物を追い出し鍵を閉め、普段は食べないちょっとした贅沢な食事を楽しんでいた。
「話を聞きなさい」
またもや勝手に入ってくる。
「なんですか?!魔法使って。ちょっとずるいんじゃありません?っていうかプライバシー守ってよ!」
「舞踏会へ行きたいだろう?お前さんも」
「行きたくないわよ」
「何故じゃ。うまいものもあるのに」
「そんなうまい話だけの世界があるわけないじゃない」
「あるんじゃよ」
「ないっつーの。邪魔しないで!一人でゆっくり食事を楽しみたいの」
「話のわからんやつだ。ほれ!」

魔法使いは薄ら笑いを浮かべながらシンデレラの腕を掴み、口から煙を出したかと思うと
家の外にいた。
外に連れ出されたシンデレラは光の渦に巻き込まれ、目を開けると綺麗なドレスを身にまとい素晴らしいメイクとヘアアレンジが施された姿になっていた。
「・・・何これ」
「さぁ、舞踏会へ行くのじゃ!」
「はぁ?!え?!ちょちょっと!きゃぁぁぁぁぁぁぁああああ!」

魔法使いは白い棒に星の付いたステッキをくるくる回しながら振りかざすと
シンデレラはかぼちゃの馬車に収納され、光の速さで会場に着いた。

「その魔法は夜中の十二時までしかもたない。十二時を過ぎたらすっぽんぽんじゃ」

とんでもないことを魔法で伝えてきた魔法使いに怒り心頭といった表情で舞踏会場に立っていた。
シンデレラとはとても思えないほど美人な姿で。
これが現状に至るまでの経緯。

「仕方ない。食べて帰ろう」

食欲だけは勝てなかった。
ご馳走を食べさっさと帰ろうと決めたシンデレラは、舞踏会場へ遅れてはいる。
すると、注目される視線。
見られている。
その異様な雰囲気に戸惑いながらも、ゆっくりと歩くと目の前に王子がいた。
「一曲、踊ってくれますか?」
考えていた人物よりも王子はまともな立ち振る舞いで、姿かたちも素敵だった。
シンデレラの勝手な思い込みは輪をかけて酷いやつとされていたのだが。
「意外と普通の人なんですね」
踊りなど知らないはずなのに、王子がリードしてまるで知っているかのごとく踊れている。
「この舞踏会も僕が開いたわけじゃありません。家臣や周りの者達の意向です」
「ふーん・・・じゃぁ、誰も嫁にする気なんてなかったんですね」
「えぇ。僕ではなく、僕に付随するものしか皆みてないでしょう?だから嫁なんて考えたこともなくて」
「まぁ、確かに生活のこともあるので付随するものは見てしまいますね。借金だらけとか、無職ですなんていわれたらさすがに難しいですものね。私自身も、そういい仕事をしているわけではないので。していれば、別ですが」
「そうですね。確かに考えるでしょうね。そういう目ではないでしょう?彼女たちは」
「そうですね。贅沢をしたい。それだけだと思いますよ」
「お金があって不自由はありませんが、自由があるかといわれると即答できる自信はありません」
「ないよりいいですよ。無いとそんなこといってられませんから」
「そうですね」
「何をするにもお金だから、きっと人はあの紙切れに悪い魔法をかけられたんですよ」
「悪い魔法ですか?」
「そう。だって、お金ほしさに身も心も侵食されて本来の目的を見失っている気がする」
「本来の目的とは?」
「人を愛することです。そして、幸せに元気に生きること」
「なるほど」
「もちろん、それにはお金も必要です。それは生きていくうえで必要最低限のものに当てはまるでしょう。けれどそれだけじゃないってことが、頭の隅にでもあればきっとお仕事やお金以外のことにも目が向くでしょうね。人間性や仕事やお金、どちらかが完璧だとしてもバランスがなっていない。それでは、生涯共に出来ませんよ」
「その通りですね、あなたお名前は・・・?」
「あ!!」

話に夢中になり、踊っていたその時、目には映ったのは大きな時計が十二時一分前を指している。

「ちょっとごめんなさい!また今度!!」
このままでは素っ裸になってしまう。
猛ダッシュで走りたいが、ガラスの靴。
なんて歩きづらいんだ!!
シンデレラは誰もいないことを確認すると、靴を脱ぎ捨てその辺に投げた。
それからドレスの裾をたくし上げ走った。
デザイン的な長い階段が憎らしい。
投げ捨てた靴が階段に転がっている。
蹴っ飛ばして端にやるとそのまま森の中に入った。
途端、魔法は解け素っ裸に。

あの魔法使い、今度会ったらぶちのめす!!

こうやって二人は出会った。
王子 二十歳 シンデレラ 十六歳。
魔法で消えるはずのガラスの靴は、王子の手の中にある。

「あの子を探そう」

それ以来、シンデレラは逃げ回っている。
ストーカー被害から。

「もぉ!しつこい!ガラスの靴なんか履けるわけないでしょう!」
「君しかいないんだ!」
「無理よ!入らない!」
「絶対に君だ!そんなに太っていても僕の眼に狂いはない!!」
「太っ・・・!!五月蝿い!うるさーい!仕方ないじゃない!この仕事始めたんだから!」
「何で毒見なんて・・・!!」
「うまいもの食べたいのよ!育ち盛りは!!」
「運動しろよ!」
「人の事ごちゃごちゃいうなー!」

こうして、二人の恋愛は続いている。

舞踏会で食べた食事が忘れられないシンデレラは美食を求め旅を続ける。
王子はダイエットを勧めつつ健康的な体になれと、ストーカーになってまで追いかける。

二人が結婚したのは、半年から一年後の話。
08:00  |  昔話と童話の真実  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

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美しさを求めたら

2009.12.23 (Wed)

「鏡よ 鏡よ 鏡さん。世界で一番美しいのはだぁれ?」
と、鏡に向かって言う女の姿を見て鏡は思った。

こいつ、馬鹿なんじゃないだろうかと。

それが、小さなきっかけだったのだけれど面倒だったといえばそれだけで
たったそれだけのいい加減な一言がこのお話を紡ぐことになる。

「白雪姫だよ」

それが、鏡の答えだった。
鏡は特にたいした意味もなくその名前を口にした。
白雪という女はつい先日この鏡がある部屋に来たからだ。
その時見かけたというだけで、実際に世界で一番美しいなどと微塵に思っていなかった。
あまりにも毎日毎日語りかけられる同じ言葉に飽き飽きしていた鏡にとって
お前だという答え以外を答えれば、もう質問されないと考えたのだが。

「なんだって?!」

それは、余計な事を言ったとしか言いようがない展開となる。

白雪姫はどこにいる?!
何がどう美しいというの!?
何歳なの?!
どんな顔してるの?!
スリーサイズは?!
色は白いの?!

質問攻めの日々が始まった。

鏡は後悔した。
本当に後悔した。

あぁ、いつも通りあの時「お前だよ」といっておけばよかったのだと。

大体、既に姫と名乗っている時点でおかしいと思わないのだろうか。
自ら姫って名乗るってどこの生まれなのか。
一体何様なんだというような部分が一番気になると思うのだが。

「白雪姫はどこにいるの!!!」

あまりにうるさいので、鏡は真実を教えた。
すると、妃は急いで支度をして出かけて行った。
一体、何をそんなに慌てているのだろうか。

鏡は不思議だった。

そうして鏡は不思議な能力を使い、妃の様子を見ていた。

「ここ・・・?」
妃がたどり着いたのは、とても小さな家だった。
というより、どう考えたって小さすぎて入らない。
もし、この中にいるとするならば子供だ。

「どなた?」
そういって、屈んでいないと立てないような小さな家から出てきたのは紛れもない白雪姫だった。
確かに綺麗だった。
美しく、スタイルもよく、白雪と名乗ってもいいくらいの肌のしろさ。
妃はそれを見て聞きたかった。
どうしても、知りたかった。

「ねぇ!あなたはどこの化粧品使ってるの?!どうやったらそんなに綺麗になれるの?!エステとか?!」

まくし立てるように初対面の白雪姫に妃は聞いた。
しかし、白雪姫は答えず「私が綺麗なのは化粧品だけじゃないの。素質なの」といって聞く耳をもたなかった。
綺麗なのは見掛けだけでたった数分はなしただけなのに、性格が最悪だというのは目に見えてわかった。

そして、その小さな家にいる本来の住人である小人達が帰り際の妃を呼びとめ泣きながら訴えてきた。

「助けて下さい!あの人勝手に家に入ってきて、勝手に住み始めて、何もしないで文句ばかりで!」

小人達は七人いて、細々と生活をしていたと言うのにその食料などをあの巨体が食べてしまう。
あれを追い出して欲しいというのが彼らの願いだった。
そこで妃は考えた。
いくらなんでも、追い出すや殺すなどという手段を使っても小人達に幸せはない。
追い出したとしても彼女は逆恨みしそうなタイプ。
一体どうすれば。

「・・・あ!」

その時、思い出したのだ。
妃は間違って購入してしまった、超強力睡眠薬のことを。
ネット通販で海外からこっそり個人輸入をした。
それは本来、媚薬だというふれこみだったが単なる以上に強い睡眠薬で意味をなさなかった。
捨てるにしても高価な品だったため、捨てられず引き出しの中。

あれなら、ずっと寝てくれるんじゃぁ・・・

そう思った妃は一旦家に戻り、薬を持って小人達の家へ。
小人達が取ってきたりんごの中に薬を入れようと思ったが、明らかに薬が溶け出すし
りんごを選んだ時点で間違っていると気づかなかった自分に苛立ちを感じながらも
必死に押し込めた。
かなりの量を。

※注意 あくまで物語ですのでお薬は用法容量を守ってください。りんごに詰めちゃダメ。

そして、妃は化粧をして服を着替え、腰をまげておばあさんに化けた。

「りんごはいらんかね?」
というと、白雪姫は瞬間冷凍されそうなくらいの冷たい目で妃を見た。
しかし次の一言でガラッと態度は一転した。
「今、流行のメラニンを押さえ美白を促進するりんごじゃよ」
はっきりいって、こんな嘘が通じるのだろうかと不安だったが白雪姫が意外とあっさり信じた。
「まぁ!じゃぁ、味見をさせてほしいわ」
買うつもりはないらしい。
「そうかい。はい、どうぞ」
そういうと、味見なのか?という量を渡すと白雪姫はものすごい勢いで食べた。
そしてあっという間に倒れた。

小人達は大喜びをした。

眠った人間を運び出すの一苦労だった。
一体どうしたらいいのかと悩んでいた。
そこに現れたのが隣の国の王子だった。

「あれ・・・?妃?」

王子ははっきりいって変態だった。
だから、妃は大嫌いだった。
でも、男の力と言うのをちょっと借りたかった。

「え?この人を?」

棺の中に入れ、花で飾り、眠ってしまったかわいそうな姫ということで説明した。
寝ているだけなのに棺に入れている時点で、色々矛盾が生じているがここは物語。

飾りつけた白雪姫を見た王子は瞬時に変態思考を露にした。

「俺、実は死体が好きなんだよね」

青ざめた、妃と小人達。

「いるなら・・・あげるから」

そういうと、王子は喜んで馬の後ろに荷台を着け戻ってきて白雪姫を持ち帰った。
その後、目を覚ましてしまった白雪姫が再度眠りに着いたのは妃の城に手紙が送られ
「あの薬を譲ってくれ!!」と懇願されたからである。

めでたし めでたし

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宇宙人だと恐れられ

2009.12.02 (Wed)

昔の話だったのだが、それは意外と知られた時代だった。
「あの家に、信じられないような小さな人間を拾ったんだそうだよ」
そういう噂は瞬く間に広がる。
その人間を拾ったのは、竹やぶを歩いていると妙な竹を見つけ気味が悪いと
持っていた鉈でぶった切ったときだった。

「ちょっと!あと少しで私死んじゃうところだったじゃん!もう少し加減してよ!」

竹の中にいた、とても小さな女の形をした人間。
殆ど人形といっていいほどの小ささ。
見つけた老夫婦はあまりのことに逃げ出した。
だが、後ろから聞こえてくる叫び声に足を止めた。

「置いていったら、あんた達二人とも呪い殺してやる!」

仕方なく恐る恐る戻ると、竹の中に女の子は立っていて「ほら!早く私を持って!」と
命令し始める。
女の子は条件として
「明日から、この竹やぶの周りに私が入っていたみたいに光る竹が生えてくるからそれを探しなさい」
と、言い出した。
「何故なんじゃ?」
恐る恐るその小さな女の子の掌に乗せたまま家に歩いていた。
震える声で聞き返す。
「私を大人になるまでに育てなさい。その対価は渡しましょう」

わけもわからず、おばあさんとおじいさんはその小さすぎる女の子の言うことを聞く羽目になる。

朝、言われたとおり竹やぶに行くと確かに光る竹が生えていた。
ゆっくりと鉈で折ってみると中から金が出てきた。
それはそれは、たくさん。
驚いたおじいさんは家に飛んで帰りおばあさんに報告。
喜びもつかの間、小さな女の子は駆け寄り「このお金で贅沢な暮らしをしたいの」と
あれこれ要求し始めた。
その要求に従うべく、大工や町の商人に掛け合っていた。
日々贅沢な要求は増えるものの、金が減ることはなく竹やぶにいくらでも生えてくる。

「私、贅沢できないならこんなところ、いたくないのよ」

そういう小さな女の子は三ヶ月であっという間に美女になった。
見た目だけは。
容姿端麗ではあるが、言葉遣いも態度も酷かった。
噂は広がり、とても美しい女がいるといわれ沢山の男達がやってくるが
あまりの横暴な態度と、物言いに逃げ帰った。

生活に困ることはない毎日は、おじいさんもおばあさんも文句はなかった。
自分達も同様にいい生活はさせてもらっていたのだ。
しかし、一体この女は何者なのか。

あれこれ要求し、聞いたこともないものをもってこいなど
男達を困らせては笑って過ごす毎日。
「私が美人?あたりまえじゃない」

手に負えない状態だった。

「結婚すればもっといい生活が出来るんじゃないだろうか」
おじいさんの言葉で女の子は少し揺れたが
「嫌よ。私、人間に興味ないの」
と言い張る。
「お前さんは人間じゃないのかい?」
「人間だと思っているの?」
「妖怪なのかい?」
「妖怪ですって?!失礼な人ね!あれだけ贅沢させてあげているのに」
「じゃぁ、お前さんは一体なんなんだい」
「姫よ!美しいお姫様!」

おじいさんもおばあさんも生活に困らないとはいえ
手を焼いているこの娘の面倒が見切れなくなった。
そこで、ふと見上げた月にお願いしたのだ。

「どうか、どうかこの子を連れて行ってください」

その願いはあっという間に叶ってしまった。
「何?!嘘でしょ?!ちょっと!いやぁぁぁああ!」
信じられないことに、月からの使者といって空から人間が降りてきた。
そして、目の前にいる美しい「かぐや姫」を一目で気に入り連れて行ったのだ。

こうしておじいさんとおばあさんは、元の平和な生活に戻れたのである。
08:00  |  昔話と童話の真実  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

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頼りない道標を信用して

2009.11.30 (Mon)

子供というものは、可愛いけれどとってもキケン。
ちょっと目を放した隙に・・・なんてよく聞く話。
どんな事故や事件に巻き込まれるかなんて、大人は想像もつかない。
多分、子ども自身もわからないことだと思う。
家庭内の話だと尚更、表に真実は出ない。

「遊んでばかりなのね!」
そういうヘンゼルとグレーテルの母親は、いつものようにヒステリックに二人に向かって叫んだ。
生活に余裕がなく、お金に困っていた母親は子供がいるから贅沢が出来ないと
嘆き何かにつけては二人に対して暴力をしていた。
母親は近所に住む奥様方とのお茶会に精を出していた。
毎日のように繰り広げられる優雅なお茶会。
そこに着て行く洋服や流行者のアクセサリー。
それが自分というものを誇張する必須アイテムとなっていた。
お金がなく借金をしてまで購入していた見栄の固まりは信じられないほどの額をつぎ込んでいた。

そんな姿を見ている父親は「いい加減にしないか」と諭すものの
「私だってこんな五月蝿い子供の面倒を一日中見てるのは嫌よ」といって聞き入れなかった。
また、そのように諭すことで後々子供達への攻撃に転化するのもわかっていたため
何も言わなくなってしまったのだ。

そんな、ある日のこと。

とうとう、母親は、子供達を邪魔以外なんでもないと追い出してしまった。
「出て行け。森なら何でもなってるから食べるものなんてあるわよ」
それは二人にとって青天の霹靂だった。
今までみすぼらしい格好をしている二人を外にだそうな度としなかった母親。
森に行けば実がなっている木くらいあるだろう。
おなかが減ってたまらなかった二人は飛び出した。

「よかったね!お兄ちゃん!」
「よかったね!」
二人は笑って外に飛び出した。
二度と戻らないと決意して。

すると、偶然その森の中には魔女が住んでいた。
「どうしたの?」
その魔女は驚きました。
「え?」
二人は森の中に人がいるなどと思っても見なかったため、何もいえませんでした。
「そんなに痩せて・・・なんでそんな格好を・・・」
魔女は驚いて二人を家に招待しました。
みすぼらしく汚い洋服を脱がせ、真新しい布を使い魔法で洋服を作りました。
その間に湯船のお湯を張り、暖かいお風呂に二人を案内しました。
二人はそんな親切を受けたことがなく、とても怯えていました。
裸の姿をみて魔女は、言葉を失いました。

なんてことを・・・。

魔女はこの二人がどのような扱いを受けてきたのかすぐにわかりました。

風呂からあがると二人の前には見たこともないほど綺麗な洋服があり
「お兄ちゃん似合う?!」とグレーテルははしゃいでいました。
そんな風に笑う妹を見たのは初めてだったヘンゼルは驚きつつも
嬉しく感じていました。

「さぁ、おいで」
風呂場から暖炉のある間へ戻ると、魔女が用意したご馳走がたくさんありました。
二人は見たこともありません。
今までジャガイモの皮などを生で食べていたのですから。

「食べて・・・いいの?」
ヘンゼルは恐る恐る言いました。
「もちろんよ。ゆっくり食べなさい」
魔女は優しくニッコリ笑いました。
二人ははじめて見る暖かい食事に驚き、そして美味しいと食べました。

その頃、家に帰宅した父親が子供がいないことに驚きました。
母親に聞くと、「出て行けといった。食い扶持が減るんだからいいじゃない」という始末。
父親は「グレーテルが作ったアクセサリーが売れてこんなにお金が手に入ったんだぞ!」と母親をしかりつけました。
その時、母親の目の色が変わりました。
「あの子が作ったらものが、こんな金額になったの?!」
それは、父親が言ってはいけない一言を言ってしまったのです。
父親はすぐにそれに気づきましたが、子供達を連れ戻す口実にはなります。
そこで「森へ探しに行こう。優しく接すればたくさん作ってくれるよ」というと母親もしぶしぶ森へ探しに行くことに同意。
外に出てみると、グレーテルがくすねたパンくずが落ちていることに気づきました。

「やっぱり、馬鹿な子供だわ」
母親はそのパンくずを辿って歩き始めました。
それが、魔女が仕掛けたものとは気づかずに。

たどり着いた先には、大きなお屋敷の家。
そう、魔女の家です。
「ここ?」
勝手に家に入ると、中には驚くほどの宝石や貴金属の山で溢れていた。
「最高じゃない!何ここ!」
母親は子供を捜していることを忘れ、そのへんにある箱に次々と詰めていった。
その様子を見た魔女は声だけを母親の頭に魔法で伝えた。

”奥にあなたの望む世界がまだありますよ”

母親は必死に詰めた箱を抱え、奥の部屋に行くと中庭が。
「なに・・・これ」
そこに広がるお菓子の家。
「なんなの!こんな馬鹿にしたもの!」
そういってお菓子の家を側にあったシャベルでどんどん壊していった。
最後に出てきたのはぐつぐつと煮えたぎる鍋が目の前に。
よく見ると中には見たこともない大きな大きな宝石が。
しかし、その中にシャベルを入れると溶けてしまった。

「なによこれ!これさえ手に入れれば、一生遊んで暮らせるわ!」
母親は我を忘れ、手を入れようとしました。

「ママ、そこに手を入れたらしんじゃうよ?」
ヘンゼルとグレーテルは屋敷の中から、見ていました。
「あんた達、まさかこの屋敷にいる魔女と仲良くなったの?」
「とても親切にしてくれてる。だから、もうずっとここにいる」
「だったら、あんた達にお願いがあるわ。この中にあるものを取ってくれれば・・・」

「嫌だ。ママが欲しいなら、ママがすればいいじゃん。僕達はもう、ママなんかいらない」

そのやり取りを、後ろから見ていた父親は魔女にこういった。
「あの子たちを幸せには出来ない。あの母親には・・・どうしたら」
そういうと、魔女は一言。
「あの宝石を手に入れれば、目が覚めますよ」

母親が煮えたぎる鍋の中に両手を入れ中にある巨大な宝石を手にすると
突然、倒れてしまいました。
その勢いで煮えたぎる鍋の中に彼女は倒れこみ、あっという間に溶けてしまった。

「これで、彼女も鍋の中で反省するでしょう。あぁやって溶けた馬鹿な人間達は
鍋の中から一生出られません。あの鍋をひっくり返さない限り」

魔女がそういうと、父親は
「自分で稼ぎます。その間、こちらで子供達を預けてもかまいませんか?」とお願いした。
頭を深々と下げて。

魔女は「よろこんで」と笑い、ヘンゼルとグレーテルは魔女のお陰で幸せになり
町中に母親の行方不明の話は持ちきりだったが、誰一人心配するものはなく二日目には
その存在すら忘れていた。
魔女の魔法のお陰で虐待の記憶もなくなり、煮えたぎる鍋で溶け、蒸発した母親は
その存在と行いの全ての痕跡と共に消え、幸せをもたらしたのだった。
08:00  |  昔話と童話の真実  |  Trackback(0)  |  Comment(7)

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