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スカイライン 最終話

2010.03.07 (Sun)

スカイライン 最終話 空の線路

「スカイさんから話しかけてくるなんて珍しいこともあるものだね」
「あなたは新しい個体だけれど、感情までどうやら受け継いだようね」
「感情?面白いことをいうんだね。僕に感情なんてないよ」
「ウィッカは出撃命令を了承した。あなたは殺すの?」

迷いはあった。
迷いしかなかった。
この、僕が。

0か1の判断が出来ない。
断線したかのように先を失った信号がループする。
僕も最後尾に出撃する。
つまり、全員の死は決定された出来事だ。
それを僕がどうこうできるわけが無い。
命令された仕事をただこなすだけ、それだけのはずなんだ。

なのに、何故。

「聞こえてる。お前、俺が生きていること知ってたのか?」

Fにメッセージを送って一時間後に返事が来た。
Fは生きていた。
というより、データとして存在していた。

「やっぱり保存されていたのか。お前のデータを消去するなんておかしいと思ったよ」
「お前が保存するように命令したんだろ?」
「・・・してないが、してほしいとは思っていた。僕に命令できる権限があるわけないだろう」
「本気で言っているのか?」
「そうだよ」
「で、何かトラブルか?」
「ウィッカが出撃する。僕と一緒に」
「それで?」
「どうしたらいいと思う?」

僕の質問にFも戸惑っている様子だ。
答えは無かった。

出撃の十分前に飛行機に乗る。
ウィッカの姿が見え、こちらに気づいた彼女が側に来た。

「迷ってるんでしょ?」
「・・・」
「あなたと一緒に飛べば確実にみんな死ぬんだよね」
「そうだ」
「それで、迷う理由は何?」
「わからない」
「まさか私の魔法を本気で存在するとでも思っているわけじゃないわよね」
「え?」
「あんなの、あの変にいる研究者たちが作り出したものよ。それを私が成功した数少ない例というだけ」
「そんなデータは・・」
「ないって?あなたが知っていることが全て本当に正しいの?」
「・・・」
「ねぇ、あなたは本当に空の線路しか飛べないの?空に線路があるわけ無いじゃない。
あれはただの目印。あの線はただの空路よ。それを外れてみんな自由にダンスできるの。
あなた、本当に空を飛べるの?」

僕に理解できる話ではなかった。
一体彼女は何を言っているのだろう。

「おい、行くぞ」
「はい。じゃぁ、空でね。最後のダンスを楽しんで」

彼女は言った。

「殺してあげる」

最後に声に出さずに口の動きだけで僕に伝えた。

「最終兵器の確認をする。コードネームをどうぞ」
「ウィッカ」

スカイライン上で待機する僕に聞こえた最後の声。
僕の最後の心臓の音は地上に落ちる寸前まで止まることは無かった。

「回収した?」
「あぁ。ウィッカ、お前は基地へ戻れ」
「了解。F、あなた今どこにいるの?」
「いつも通り、部屋にいる」

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第八話 新品

2010.02.18 (Thu)

そのときのウィッカの表情は中々見ものだった。
僕が初めて量の階段を上ったその日。
空は雲ひとつなく水色を描いていた。
煙草の煙が心地よい風に吹かれにおいを感じ取るまもなく過ぎ去った。
記憶を頼りに部屋の前に立ちドアノブを握った瞬間、ドアは勝手に開いた。
「…まさか!」
それがウィッカの声を直接聞いたはじめての言葉。
「はじめまして、というべきだけどね」
「…え?」

タンクトップ一枚のウィッカの後ろには、もう一人の僕が寝ていた。
あの時スカイさんの情報となった僕。
その成れの果て。

「僕は死ぬことはないから。それと、ウィッカの願いをかなえられる体に変えてきたよ」
「願い?」
「そう。君に触れることができるから」

僕は人間のように振舞った。
ウィッカは抵抗することなく、ただ淡々と受け入れまるで他人事のように。
僕はうれしかった。
僕という存在が、ウィッカにとって特別なものへの変化が感じ取られた。
きっとそういうことなんだと思う。

成れの果てはその後回収業者が引き取りに来る。
業者が来たとき、僕が応対した。
業者はさすがに驚いた様子だった。
通常業者は僕のような新品と出会うことはない。
起動確認が取れる固体と出会うことがないからだ。

「あの…起動固体ですよね」
「そうだよ」
「…はじめてみたから」
「だろうね」
「…何故」
「彼女に見せたからね。僕がデータになる瞬間を」
「え?!でも、あれは…」
「うん。きっと、僕の成長した後を知っているはず。それでも、こうやって抜け殻の僕をここまで運んで泣いてくれたのがうれしかったんだ。データとして僕に蓄積されているからね。」
「それでその姿に?」
「うん。喜んでくれたのかどうか僕には理解ができないけど」

しばらくして、寝ているウィッカの唇に触れ、そのまま部屋を出た。

「戦闘か…。随分、範囲が広いな」
「そうですね」
「スカイさんから話してくれるとは珍しいね。どうしたの?」
「ウィッカにも出撃命令が出てるわ」
「…そう。それは残念だ」
「どうするの?」

そう聞かれて僕は初めて迷った。

彼女を殺すのか殺さないのか。
僕にとっても存在は確実に特別な何かに変化してきているのかもしれない。
だがそれが、煩わしく苛々させる。

「F、聞いているか?」

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第七話 成長

2010.02.02 (Tue)

乗れば確実に死ぬといったのにもかかわらず、ウィッカはどうしてもスカイラインに乗りたいと言い出した。
僕にとって彼女の死ということ自体に興味は無い。
だが、死を必要としているような人間とは思えない。
どちらかといえば失うことは得策とは思えない存在だ。
乗せる乗せないでもめるつもりは最初から無かったが、スカイさんを見れば彼女は載ることを諦めると思った。

「これが、操縦席?」

ウィッカには理解できなかったようだ。
というより、青ざめていた。

「ダイレクトに接続する。そうすることでスカイラインと一体化する」
「どういうこと?」
「あの空にあるレール。あれが、スカイライン。空の線。その上を走ることの出来る唯一の機体。最強の戦闘機だけれど操縦者を選んでしまう。その理由がこのコネクタ」
「どう繋ぐの?」
「僕の体に直接刺さるんだよ。一つ一つの針が自動的にあらゆる感覚とリンクする。もちろん、僕は人間じゃないからそういう風に作られている。だから、リンクできる。コネクトができれば後は操縦するだけ」

ウィッカは何もいわずに僕の服を脱がした。
僕は何がしたいのかと見ていたが周りの整備し達は驚いていた。
どちらかといえば、僕という存在は嫌われた存在。
見方だろうとなんだろうと全部吹き飛ばして跡形も無く殺す。
 見返りは勝利のみ。
誰にとってそれがいいことなのか、誰にとってそれが望ましいことなのか、人を殺しているというのにもかかわらず人間はその答えを誰も持っていない。

昔、一度だけ人間に聞いたことがる。
ウィッカのようにスカイラインに興味を持っていた人間だ。
まだ戦闘職種に配属されたばかりの新人だった。
彼は僕に好意を持っていたようにも感じるが思い違いかもしれない。
その彼に僕は聞いたことがある。
「そうやってスカイラインを見るのは殺したいからか?」と。
彼はすかさず答えた。
「そんなことはない!」
怒っているようにも見えたが、僕は怒ることが不思議と違和感を感じた。
「では、君は地上に落ちたとき女と子供が銃を向けてお前を殺そうとしている。女と子供どっちを殺すんだ?」
彼は真赤な顔をして何も言わずにその場を去った。
結局、どんな相手だろうと人間という生き物だ。
僕とは違う。
僕のように製造され、量産され、また作り直せるような存在じゃない。
殺せば死という終りが来る。

敵にとっても同じだ。

生きるためという理由から殺しにくる。
女子供は殺せないという人間も多いが、男ならいいという理屈は一体なんなのだろうか。
殺そうとする意思は誰しも同じだ。

生きるためという理由ならば。
殺すことをお互いがやめない限り、続く。

「そろそろフライトの時間だね。私、戻るよ」
「あぁ、そんな時間か。なら、あと少しだけ見ていたらいい。興味があるなら」
「何を?」
「次に接続するとき、僕は成長するから」
「成長・・・?」
「うん。兵器として僕は成長する姿を見ることが出来るよ」

ウィッカの目は見たことも無いほど大きく見開いて僕を見ていた。
脱がされて寒いと感じながらも、そのまま僕は服を全部脱ぎ操縦席に座る。
全身に針が刺さり、最後に僕の頭にゆっくりと重要なコネクタが接続され僕とスカイさんはひとつとなる。

その後、僕はスカイさんに吸収される。
ゆっくりと溶けるように。
何かの液体が操縦席を満たしていく。

「・・・!!」

思い違いだろうけれど、ウィッカの泣きながら叫ぶ声を聞いた気がする。
殺して欲しいといったのは誰だったかな。
昔いわれたことがあるのを今頃思い出した。
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スカイライン 第六話 ダンス

2010.01.13 (Wed)

第六話 ダンス

上官でスカイラインと飛ぶためだけに自らを降格した彼女。
それはウィッカ。
僕とスカイさんのメモリにとても興味のある対象として保存されている映像。
それが、魔法使い。
ウィッカはコードネームだが、純血の魔法族である彼女の存在は現代に至ってはとても貴重なものだ。
科学を超えたものを生み出すその力はどれだけの研究者が集まっても解析できていない。
「座って」
部屋に戻ると頬を氷で冷やしながら座っているウィッカがいた。
先ほどFに引っ叩かれたためだろう。
どうして叩いたのかはぐらかされた為、僕は知らない。
知る必要もない。
「何故?」
「腕をつける」
「つける?」
先ほどウィッカの魔法で吹き飛ばされていた左腕を拾い上げ、ウィッカは何か言葉を口にしたが聞き取れない何かだった。
「呪文?」
「そう」
「なんといったの?」
「聞こえない声」
「え?」
「魔法は聞こえない声で話す。だから、聞こえないんだ」
非科学的なものというのは、僕達には理解できない。
Fは元々人間。
感情というものが理解できる。
僕は、元々人間じゃない。
人間のパーツは利用されているようだけれど、記憶は何もかもがクリアされた。
脳をリサイクルすることは出来ても記憶だけは残らないようになっている。

邪魔だから。

感情は必要ない。
それが研究者達の理論であり、結論。
僕には感情がない。

「どうして、君は女の子なの?」

ウィッカが僕を見てそういったとき、驚いた。

「抱かれたかった?」
「そうだね」

感情のない僕でもこんな台詞が口から出たことに。

「今、いいかね?」
それは、新しく着任した上官の声だった。
「どうぞ」
僕は立ち上がりドアを開けた。
「明日の朝、二人で飛んでもらう。先ほど、Fの破棄が決定された」
「では、今後のパートナーはウィッカですか?」
「そうだ」
「わかりました」
指令所を受け取りフライトプランを確認。
単なる偵察業務。
Fは破棄されたか。
都合のいい話だ。
「・・・破棄ってどういう意味?」
「その言葉通りだよ。稼動状態がよくないと判断された。後は、処分されるだけ」
「どうやって?」
「正確に敵に対して最大限の威力を発揮するために攻撃をしにいく」
「特攻ってこと?」
「いや、そうじゃない。スカイラインパイロットが唯一出来る最後の仕事」
「何をするの?」
「自由に空を飛ぶことが出来る。あの決められたラインから外れ本当に飛ぶんだ。ダンスが出来る」
「それだけ・・・?」
「力尽きるまでダンスをし続ける。最高じゃないか」
「じゃぁ、今彼は・・・」
「もう、落ちたよ。さっき、信号を受信した。君に伝言を受け取ったよ。好きにしろって」

際立つのは動き。
飛んでいるとは思えないほど、滑らかでしなやかに動く。
敵を見つけた思ったら、もう目の前からいなくなる。
するりと雲の間をそっと抜けるように飛ぶ。
ひらひらと。
ロールしながら下に見える敵の背後へ。
敵も気づき速度を上げる。
そのまま背後に着く。
急旋回。
エルロンで右へ倒す。
スパイラルで降下。
フルスロットル。
追いつく。
撃つ。

なんだ?
おかしい。
当たったはずだ。
軌道が変わっている。

「俺も、純血だったんだ。魔法族のね」

それがFから送られた最後の信号。
笑いながら満足そうにいった言葉。

僕が殺して、僕が人から人ではない何かに変えた、Fの最後。

「ウィッカ。スカイさんが着いたって。明日は、一緒に乗る?」
「え?」
「ただし、一緒に乗ったら確実に死ぬけど」
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スカイライン 第五話 空の狭さ

2009.12.26 (Sat)

スカイライン 第五話 空の狭さ

部屋に入ってきたFをみてウィッカは驚いた顔をして見せた。
「あれ?お前、なんで・・・」
それは、随分と浸しい人間に向けるまなざしだと理解できた。
どういう関係なのだろうか。
「知り合い?」
そう聞いた僕の質問に答えるつもりはないといわんばかりにFはウィッカに近づき
突然、頬を平手打ちした。
力いっぱい。
横に吹っ飛んだウィッカは涙目になりながらも、立ち上がり「気が済んだのなら出て行って」とだけ答えた。
「いい加減にしろと、言ったはずだ」
「私はスカイラインと飛びたいだけ」
「お前は俺にはなれない」
「私はあなたになるつもりはない。私は私のままでいい。私はウィッカとしてスカイラインと飛びたいのよ」
「飛びたいのか、それともダンスをしたいのか」
そういうと、Fは怖い顔をしたまま僕の腕を掴み部屋から引っ張り出した。
何も言わず強い力で捕まれる腕が痛いと感じながら階段を下りた。
談話室に入るとFが掴んでいた腕を突き放すように外した。
まったくFの気持ちも行動も理解できず、ウィッカが何故スカイラインにこだわっているのかという理由も定かではなくなった。
彼女は僕が助けたことが気に食わなかったんだろう。
今まで散々言われているはずだ。
スカイラインととんだにもかかわらず、生き残った人間だ。
そうやって、特別な存在のように扱われきたのだろう。
僕の気まぐれによって。
恨みもあれば、スカイラインという存在に対する憧れは誰しもパイロットであれば持っている。
同時に、ダンスのときの際立った動きも見るだけで価値があるといわれているが僕にはそれがどれほどの価値なのか理解できていない。
人間達の憧れの対象として、祭り上げられた存在のように感じている。
いくら人工的に作られたパイロットとはいえ、元は人間だったのだから。

もちろん、Fも。

タイプFはテストタイプ。
Fは普通に戦闘機に乗っていたパイロット。
攻撃で墜落。
生存確率が少ないと判断され、スカイライン専属パイロットへの改造が行われた。
結果、成功確立は少なかったもののテストタイプとして生産されFは僕のパートナーとして飛んでいる。
Fも複雑な状態だということはわかっている。
墜落した原因は味方機による攻撃。
つまり、フレンドリーファイヤー。
それも僕がしたことだから。

本来なら、僕の顔など見たくもないだろう。

「どういう関係か、聞いても?」
そういうと、Fはタバコを口に咥え火をつけ大きく吸い吐き出した。
僕もタバコに火をつける。
立ち上がり、奥にあるコーヒーを注ぎFの前に置いた。
僕が飲もうとしたときFは口を開いた。

「娘なんだよ。ウィッカは」

それは嘘だということはわかった。
あからさまな嘘に、それ以上何かを聞こうという気になれなかった。

「僕がウィッカを助けたというのは知ってるんだろう?」
「知ってる」
「僕がお前を撃ち落したことは?」
「知らないだろうな」
「僕は何のために空を飛んでいるんだろうな」
「殺すためだろう」
「何を?」
「生きているもの、全て」
「そうかも、しれないな」
「最終兵器だと、聞いたことがある」
「僕が?」
「いや、スカイラインという、あの空にある道の話だ」

スカイラインは決まった場所しか飛行できない。
それは、あるライン上だけ。

その名が、スカイライン。
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スカイライン 第四話 魔女

2009.12.21 (Mon)

スカイライン 

第四話 魔女


彼女は僕の本体といっても過言ではない存在に憧れというより、何か不思議な気持ちを抱いているようだった。
その目は、どちらかといえば殺して絞めたあとにうまい肉になるものを待っているかのような目。
その味わいを確かめるように、ゆっくりと舐めているに違いない。
彼女はそういう人間だ。
僕はそんな彼女を嫌いではなかった。
そうやって、殺されたいと思っていたから。

破棄されるのではなく。

「これをあなたの携帯電話に接続してもらえますか?」
手の内側の付け根から引き出したコードを見て彼女は奇妙な顔をして見せた。
「何か?」
そういった僕の質問には答えず、コードを携帯電話に繋げた。
「これでいいの?」
「では、そのまま。彼女が掛けてきますから」
すぐに彼女から電話がかかってきた。
着信ボタンを押す。
そして、「スカイライン・・・?」とか細い声を出して彼女は怯えたように聞いた。
「そうです。はじめまして、私がタイプRの戦闘機。あの子はスカイさんって呼ぶんだけれど。あなたは?」
「元上官で、現在同室のパートナー」
「この音声パターンは、まさか、あなた魔女?」
「え・・?なんで・・・」
「あぁ、覚えていないんですね。私、あなたと飛んだことが一度だけあるんですよ」
「え?!」
「たった一度だけ、助けるという行為をした。その機体に乗っていたパイロットのコードネームが」

「ウィッカ」

と、僕が答えた。

やっと彼女が僕と目を合わせた。

「覚えていますか?」
「・・・」
彼女は思い出せない様子。

携帯電話に接続していたコードを抜き取り、僕は上着を着た。
それから僕は彼女が思い出せない様子だったのでその時の映像記録を、スカイさんより受信。
それを手持ちの小さなパソコンに映し出した。
「これが、あなたです」

そういうと彼女はやっと押さえつけている表情を浮かび上がらせた。

「覚えていますよね?僕があなたを殺そうとしたけれど、わざと殺さなかったこと」

彼女がスカイラインに熱中している理由。
それは、僕に負けたから。

そして、その僕が助けたから。

「どうして、私を殺さなかったの」

「ウィッカは有名ですよ。魔女の生き残りだと」

彼女が、非科学的な魔女という血筋の人間だというのはもっぱらの噂だったがデータ上それは事実だった。
面白いデータは存在し、彼女には人間にはない能力がある。
それは戦闘時とても役立つのではないかと考えたのは僕なんだけれど、スカイさんは興味があるというだけのレベルだったのだが、とんでもない能力者であることをこの後に知った。

「まだ、僕フライト回数あるのに・・・」

気がつけば腕が吹き飛ばされていた。
彼女の、魔女の力で。

「うるさい!」

「それが、魔法ですか?」

そういった僕の目は、きっと、最初の彼女と同じ眼をしていただろう。

「入るぞ」

Fの声がドアの外から響いた。
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スカイライン 第三話 彼女の名は

2009.12.18 (Fri)

第三話 彼女の名は

彼女の目は今まで見たことが無いほど輝いているように見えた。
上官として会った彼女。
その死んだ魚のような目をして、窓の外を見る時だけ輝きを放つ。
そんな姿を配属されてすぐに見た。
それが今、僕が来たことで彼女は自ら降格しパイロットになった。
それも、勘違いで。
彼女にとってそれはうれしい勘違いだったに違いない。
彼女は、僕と飛びたかったのだから。
スカイライン
それは戦闘機と同型タイプの人工的に作られた専属パイロット。
僕はタイプR。
スカイラインシリーズは、敵にとっても脅威であり
見方にとっても脅威だった。
それは敵味方関係なく、勝つことだけを目的として作られたシリーズだから。
勝つためならばその手段は選ばない。

「君が、スカイラインだ…なんて」
彼女は僕の頬に触れ、それから背中の製造番号を触った。
「主に戦闘機と思われがちですが、パイロットも含めてスカイラインといわれています。タイプRは最新型ではありませんが、僕が唯一長く生存確認できているためここの基地へ転属になったと聞いています」
「長く生存?」
「僕たちスカイラインパイロットは、直接戦闘機とダイレクトに接続します。その負荷はタイプによりますが、タイプRはかなり軽減されたものなのでフライト回数が増えました」
「つまり、フライト回数が決まっているの?あなたたちは」
「はい。僕たちは、フライト回数が200回が限度といわれています。通常、200フライトを越えた時点で破棄です」
「その経験値は、どうなっているの?」
「それは、スカイラインに搭載されているAIが記憶しています」
「パイロットは使い捨てということかしら」
「そうです」
「私たちも、そうなるのかな」
「いえ、それはありません」
「何故?」
「人間は、死ぬまで動くことができます。僕たちのように飛ぶ事はできませんが、持ち得ない能力を持っています」
「例えば?」
「説明できない力です」
「曖昧な答えね」
「それが、重要だと研究者たちは常々口癖のようにぼやいていましたよ」
「スカイラインでこの基地に来たの?」
「いえ、今はまだ整備士の所にいます。僕と戦闘以外では飛びませんから」
「いつくるのかしら?」
「明日、来るはずです」
「わかるの?」
「話、しますか?」
「話せるの?!」
「はい、彼女は気難しいですが僕はスカイさんと呼んでいます」
「名前が…あるの?」
「真っ白のきれいなラインをしていますよ。きっと、彼女はあなたと話すと喜ぶでしょうね」
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スカイライン 第二話 僕と彼女

2009.12.13 (Sun)

第二話 僕と彼女

僕が驚いたのは、僕が部屋に着くよりも先に彼女がくつろいでいたことだ。
「入れば?」
ドアを開けたまま突っ立ている僕に彼女は素っ気無く答えた。
「あの・・・一体、どういうことですか?」
「君がここに来る。配属決定は嬉しかった。それだけ」
「嬉しい、ですか?」
「そうだよ。君は前の基地でエースだった。それがこの基地へ移動となるなんておかしな話だ」
「特に疑念は持っていませんが」
「そこで、私なりに考えペアで飛ぶほうがより多く殺せるんじゃないかと考えた」
「敵を?」
「そうだ」
そういった彼女の目は、獲物を探す眼をしていた。
僕を見ているというのに、撃とうか、撃ってしまいたい、殺せない、味方だと
言い聞かせているように息を整えつつ話している。
そんな雰囲気を漂わせ、タバコの煙と共に僕を包んだ。
 部屋に入り、持ってきた荷物を置いた。
ポケットからタバコを取り出したが、中身はなかった。
「貰っても?」
彼女の前にある机ににはタバコの箱が無造作に積み重なっていた。
「どうぞ」
そういわれると思って僕は彼女の言葉を聞く前に、既に口に咥えていた。
「そういえば、この前スカイラインと飛んだんだって?」
はっきり言って、驚いた。
絶対に口にしてはいけない。
それが、パイロットの中でも有名な話。
撃墜される。
それが、通説。
「いや、飛んだわけじゃない」
「なんだ。やっぱり噂か」
そういうと、がっかりした表情を見せた。
彼女はスカイラインに憧れを抱いているというより、撃ち落としたいという欲求が持っているようだ。

「僕が、スカイラインだから」

そういうと、彼女の口からタバコは落ち下にあるカーペットを焦がし始めた。
「じゃぁ・・・君の名前のRって・・・」
「上官だったのに、知らないんですね。僕が、Rだと呼ばれている本当の理由を」
僕は小さな声で言いながら上着を脱いだ。
「これって・・・」
「これが、僕の生産ナンバーです。Rは、タイプ別の名前。僕は、人ではありません」
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スカイライン 第一話 メッセージR&F

2009.12.03 (Thu)

スカイライン

第一話 メッセージR&F

大きく旋回しながら、僕は地上に見える真新しい基地を眺めた。
青い空の日差しの強い冬だというのに、雲は真白く僕の下で浮かんでいる。
「随分、待たせるな」
管制塔からの着陸許可が下りない。
一体、いつまで待たせるのだろうか。
「コードR、着陸を許可します」
「了解」
再度旋回し、着陸態勢に入る。
あぁやっぱり、雨が降ると思った。

「遅かったな」
先に下りた前の基地と同じ所属部隊のFが僕の飛行機の横に立っていた。
「許可が下りなかった」
「お前、嫌われてるんじゃないのか?」
ニヤニヤと笑いながら僕が飛行機から降りると、Fは僕の頭をぐしゃくしゃとかき混ぜた。
「髪、随分伸びたな」
そういうと、Fは僕が咥えているタバコに自分のを押し付け火をつけようとした。
「自分でしろ」
僕は目の前にあった顔を押しのけ、先を急いだ。
報告に行くために。
「本日より配属になりました、よろしくお願いします」
上官の部屋に入ろうかと思ったが、上官は談話室でくつろいでいた。
「よろしく」
そういうと、彼女は笑って子供のような顔を見せた。
誰よりも冷酷だと有名な女だったが、微塵もそんな感じはしなかった。
だが
「ねぇ、君。空から人を撃ち殺すのと、地上でピストル持って子供殺すのってどっちが平気?」
そういった彼女は笑って言った。
「どちらも、同じ行為だと思いますが」
「そうだね。でもさ、女も子供も殺せないって言うやつが戦闘機乗りたがるんだよ」
「飛ぶことが好きという人もいます」
「飛ぶ理由って何?」
「理由・・ですか?」
「戦闘機が飛ぶのは、人を殺しいくため。同じことだよね」
「何が言いたいのか、僕にはわかりません」
「ん?いや、仕事しろって言いたいだけ」

そういうと、上官は自分が飲んでいたコーヒーを奪い取り手を振って談話室を出た。
子供のように笑いながら、子供のように幼い顔をして
僕の長い髪を結んでいた紐をイタズラの様に取って。

「君、かわいいよね」
その声がした後、ドアが閉まった。

その後、彼女は転属が決まった。
それは僕にとって、驚きでしかなかった。

「降格・・・ですか?」
21:31  |  スカイライン  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

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