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スカイライン 最終話

2010.03.07 (Sun)

スカイライン 最終話 空の線路

「スカイさんから話しかけてくるなんて珍しいこともあるものだね」
「あなたは新しい個体だけれど、感情までどうやら受け継いだようね」
「感情?面白いことをいうんだね。僕に感情なんてないよ」
「ウィッカは出撃命令を了承した。あなたは殺すの?」

迷いはあった。
迷いしかなかった。
この、僕が。

0か1の判断が出来ない。
断線したかのように先を失った信号がループする。
僕も最後尾に出撃する。
つまり、全員の死は決定された出来事だ。
それを僕がどうこうできるわけが無い。
命令された仕事をただこなすだけ、それだけのはずなんだ。

なのに、何故。

「聞こえてる。お前、俺が生きていること知ってたのか?」

Fにメッセージを送って一時間後に返事が来た。
Fは生きていた。
というより、データとして存在していた。

「やっぱり保存されていたのか。お前のデータを消去するなんておかしいと思ったよ」
「お前が保存するように命令したんだろ?」
「・・・してないが、してほしいとは思っていた。僕に命令できる権限があるわけないだろう」
「本気で言っているのか?」
「そうだよ」
「で、何かトラブルか?」
「ウィッカが出撃する。僕と一緒に」
「それで?」
「どうしたらいいと思う?」

僕の質問にFも戸惑っている様子だ。
答えは無かった。

出撃の十分前に飛行機に乗る。
ウィッカの姿が見え、こちらに気づいた彼女が側に来た。

「迷ってるんでしょ?」
「・・・」
「あなたと一緒に飛べば確実にみんな死ぬんだよね」
「そうだ」
「それで、迷う理由は何?」
「わからない」
「まさか私の魔法を本気で存在するとでも思っているわけじゃないわよね」
「え?」
「あんなの、あの変にいる研究者たちが作り出したものよ。それを私が成功した数少ない例というだけ」
「そんなデータは・・」
「ないって?あなたが知っていることが全て本当に正しいの?」
「・・・」
「ねぇ、あなたは本当に空の線路しか飛べないの?空に線路があるわけ無いじゃない。
あれはただの目印。あの線はただの空路よ。それを外れてみんな自由にダンスできるの。
あなた、本当に空を飛べるの?」

僕に理解できる話ではなかった。
一体彼女は何を言っているのだろう。

「おい、行くぞ」
「はい。じゃぁ、空でね。最後のダンスを楽しんで」

彼女は言った。

「殺してあげる」

最後に声に出さずに口の動きだけで僕に伝えた。

「最終兵器の確認をする。コードネームをどうぞ」
「ウィッカ」

スカイライン上で待機する僕に聞こえた最後の声。
僕の最後の心臓の音は地上に落ちる寸前まで止まることは無かった。

「回収した?」
「あぁ。ウィッカ、お前は基地へ戻れ」
「了解。F、あなた今どこにいるの?」
「いつも通り、部屋にいる」

08:00  |  スカイライン  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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