サイトマップ
FC2ブログ

春色

2010.03.27 (Sat)

春。

一般的に春という季節は目まぐるしく環境が変わる。
春という季節のせいにして僕は髪の毛を金髪にした。

「どうしたの?!」

それは母の一言だった。

特に反抗する意思があるわけではなく単に金髪に憧れていただけで
以前カツラをかぶってみたところ意外と似合っているのではないかと思ったために実行した。
大学に入る前だが、一度くらい髪の色を染めてみてもいいだろうと思ったが
「美容院に行く」といって出て行った僕がまさか金髪に染めてくるとは思わなかったらしい。

「意外と似合うわね・・・」
母はじろじろと見ながら呟いた。
「大学生って感じしないけど一度してみたかったんだ」
「ま・・・あなたがいいならいいんじゃない?アルバイトは限られたものしか出来なさそうだけれど」
「あ・・・考えてなかった」
「まぁいいわ。刺青とかじゃないんだから戻せるしね。嫌になったら坊主にでもしなさいな」
「そうだね」

金髪の姿で街を歩いた。
今ではこんな髪型は珍しくもなく誰一人気にしていない。

「・・・もしかして、日下部?」
声をかけてきたのは高校卒業以来のクラスメイトだ。
といっても、二三日前卒業したばかりだ。
「そうだよ」
異様なものを発見したような顔をしてみせる。
「どうしたの?!お前・・・なんか、すげー意外なんだけど」
「一度やってみたかった」
「・・・へぇ・・・」
「なにしてんの?」
「俺は大学受からなくて留年。悔しいけど、どうしてもあの大学行きたいんだよね」
「そっか・・・。頑張れよ」
「あぁ。・・・そういえば、日下部知ってる?」
「何を?」
「日田木がお前のこと好きだったって」
「え?」
「あいつ、ずっとお前のこと好きだったんだよ」
「何で知ってんの?」
「卒業式の日、告ったら振られた」
「そっか・・・。お前、ヒタギのこと好きだったんだ」
「うん」
「俺はお前のことが好きだった」

そういって答え聞かぬまま外に出た。

「オイ!待てよ・・・」

僕のあとを追いかけてきた彼の名はハルという。
08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

拍手する


 | HOME |