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主な原因

2010.03.30 (Tue)

「残念ですが・・・」
突然鳴った電話に眠たい目を無理やり開けて取ったその先に待ち受けていた言葉は
夜が明ける寸前の時間。
終りを告げた話だった。

「どういうことですか?」
慌てて着替えて指定された場所へ向かう。
自殺した男はぶら下がっていた。
「遺書がありました。自殺と断定して間違いないと思います」
「遺書?」

遺書を手に取り中身を見るとそこには見知らぬ女の名前が一番最初にあった。
「みらいへ・・・?」
みらいと書かれた誰かに宛てた遺書らしい。
しかし私にはみらいという人間を知らないし、浮気相手だとしてもこの男を責めることすら
方法が無い。
浮気相手に男が死んだことすら知らせる手段は無いのだ。
ただ気がかりなのは一番最後の一行だった。

「子供を頼む・・・ですって?」
一体誰の子なのか。
私以外の女に産ませたというのなら、私と付き合う前の話。
一体・・・誰の。

「奥さん、遺書にはなんと・・・」
「子供をたのむそうですよ。子供なんて私達夫婦にはいません」
「え・・・」
「浮気でもしていたんでしょう。みらいへなんて・・・私の名前は違うのに」
「しかし・・・奥さんこの遺書は」
「いいんです。別に。死んだ人に文句は言えませんしどうでもいいんですけどね」
「いや、そうじゃなくてご主人は・・・」
「自殺なんてしたって自己満足だけなんですから、満足したんでしょう」
「ですが自殺の原因は・・・」
「まったく、なんで死にたいなんて思ったのかしら。まったく」
「ですから、遺書に書かれて・・・」
「葬式代も馬鹿にならないのに」

女はそういうと遺体に手を合わせることも涙を流すことなくその場を去った。
遺書を持った警官はどうしたものかと困っていた。
二枚目の遺書を手に持って。

「どうしたんですか?」
「あ、いや・・・あの奥さん遺書二枚あるのに一枚目しか見てなくて」
「え?!それじゃぁ・・・」
「なんか怒っていってしまった」
「ダメじゃないですか!早く見せないと!!」
「そうなんだけど・・・これ見せたら余計になんかこじれそうで・・・」
「え?こじれる?見せてください」

奪い取った遺書を見ると自殺の原因が書いてあった。

「これって・・・」
「見せようかどうか迷うだろ?」
「まぁ・・・そうですけど」
「普通気づくだろうって思うけどあの奥さん気づかなかったから」
「うーん・・・じゃぁどうします?とりあえず、この仏さんが誰かわからないんですけど」
「だよねぇ・・・」
「それよりも、ご主人に逮捕状を請求しないと」
「そうだな。あの奥さんが仏さんになっちまう」
08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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