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特別な力がもたらすもの

2009.05.27 (Wed)

生まれた時、誰もがこの姿を見て悲鳴を上げたというのはいつも聞かされている話だ。
だが、そんなこの娘が言葉を話し始めた頃その変化は訪れた。
「お姉さま、いつ、ここ、怪我したの?」
妹が言う言葉に姉は妹の指差した腕の部分を見たが何も怪我など無かった。
「・・・怪我なんてない・・・けど」
怪訝な顔をした姉は、妹の顔を見てしまった。
姉は急いで目を逸らし妹の側を離れた。
「お姉さま・・・そっちに行ったら怪我するのに」
そういった妹の言葉に足を止めた。
姉は妹の方を振り返った。
だが、後ずさりし妹からゆっくりと離れようとした。
「駄目。お姉さま、もう、手がなくなっちゃった」
「何を言っているの」
姉は次の日、妹が行くなと言った方向へ出かけることとなる。
姉は昨日妹が言ったたわ言など忘れていた。
しかし、姉が出かけて一刻ほどした頃慌てて駆け込んできた医師の助手が叫んだのだ。
「腕が!かほちゃんの腕が!」
息を切らせて走ってきた助手はそれだけを言って玄関先に出てきたその家の主人の手を掴み、走り出した。
「どうしたと言うんだ!」
その家の主人を医師の家に連れて行き、かほが治療を受けている様を主人に見せた。
「こっこれは・・・!」
かほの腕は引きちぎられており、そのちぎられてた腕には妹の手の後が残っていた。
「どういうことだ・・・」
「崖から落ちたんです。けれど、かほちゃんの腕が崖の途中にある木に引っかかって・・・」
「そんな崖に、末の娘がいたというのか?!」
「いえ、突然手だけが出てきたんです」
「なんだと?」
主人は眉を吊り上げて医師を睨んだ。
「お父様、本当の話よ。あの子の手だけが突然私の手を掴んだの。もし、掴んでくれなかったら私は上げから落ちて谷に流されてた。ものすごい力で掴み挙げられて手が千切れたの」
医師はおびえながらも姉の言葉に続けて声を発した。
「あの時、谷に落ちていれば確実に死んでいました。手の切断も大変な怪我ですがうまく切れているので治療も早く出来、また、とても考えられない力で一気に止血をしたようです。そのため、生きている奇跡が起きたのです」
「・・・あの娘が助けたとでも言うのか」
主人は信じられなかった。
自分の娘だが、化け物のような姿形をした娘。
誰一人としてその姿を見せまいと地下牢に閉じ込めて育てた。
何に憑かれているのかと心配した主人は子孫のことを考え、必死になって術師などを探し回った。
だが、どんなに有名な術師でもその娘の姿を見るや否や腰を抜かし逃げ帰ってしまったのだ。
「・・・昨日、あの子が地下牢から出てきて私に言ったの。いつ怪我したのって。この部分を指差して」
「怪我をすることを知っていたとでも言うのか」
「そうじゃないかしら・・・。そっちに言っちゃだめとか・・そういうことも言ってたもの」
「まさか・・・」

瞬く間にこの話は広がり、あの家にいる化け物の娘は先が見えて災厄を取り除いてくれるそうだと村の人間の話題となった。
その話題は、村に商売に来ている他の村に住む住人の耳にも入り
かなり遠くの村まで化け物の娘として話は広がったが
何故、化け物の娘なのかと言う詳細は皆の憶測が飛び交い
嘘か真かわからない姿が絵にかかれた。

家の主人はこの状況に青ざめていた。
村の中でもあまりいい暮らしをしている家ではない。
家に娘がいるのも二人人だとまわりに言ってきたが、地下牢で育ててきた。
このままでは村八分になり、仕事も失いかねない。
ただでさえ昔から噂があった。
そう、末の娘を取り上げた産婆が話したのだ。
「あんな化け物みたことがない」と。
それを否定し、そんな娘は生まれていないと言い続けやっと収まったと思った時期に
この消しようが無い噂の広がり。
この先どうやって生きていくかと頭を抱えていた主人の元に意外な人間が尋ねてきた。

「化け物・・・といわれているようですが、なんでもいい。お願いがあるのですが」
目の前の風呂敷から現れたのはその家にとってはとんでもない大金だった。
主人は目を丸くし、そのお金を持ってきた人物を見た。
ここで娘の存在を否定してはこのお金は手に入らない。
しかし、これがどこかの村の娘の存在の真偽を確かめるための演技かもしれない。
その二つの疑問が頭の中を走ったが、目の前にあるお金に手が伸びた。

「娘がいることは、どうか内密にお願いします」
そういうと主人は客人を地下牢へ案内した。
真夜中の月明かりに照らされた娘がこちらを振り向いたとき
客人の一人が悲鳴を上げて腰を抜かした。
もう一人の客人は、興味津々と言った表情だ。

「お願いがあるんだ・・・」

客人は地下牢に近づき娘の顔を見た。
娘は客人の後ろにいる父親の顔を見てこう話した。
「どうして、お姉さまを殺そうとしたの?」
客人はその言葉を聞いて地下牢に近づき娘を顔を見てここに来た目的を話した。
「君にはわかるんだね?この男が何をしてきたのか」
「うん。あなたがお父様を殺すこともわかってる」

主人は娘の言葉を聞いて逃げ出そうと走り出した。
だが、客人が追いかけ誰にも存在の知られない地下牢で息絶えた。

「何故、君が化け物だなんていわれるのかわからない」
「私が化け物に見える人はその人自身が化け物なの」
「僕には君が普通の女の子にしか見えないよ」
「私のできることはその人の心の中を私自身に映して見せることだけだよ」
「本当に、それだけかい?」
「あなたほどの力は無いわ」
07:40  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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コメント

怖いね…

顔を上げた客人の瞳には

何が映っているのかな?

ひろ |  2009.05.27(水) 23:33 | URL |  【編集】

ひろさんへ

お客さん自身が実は高次能力者。
だから、多分、彼には彼女が普通の女の子にしか見えていないです。
彼女の能力を無力化できて、その能力で彼女の父親を殺してしまったのです。
彼自身もまた、差別され生きてきた人。
だから、お願いをしたのでしょう。
解放されるために。

って、怖いねぇ(汗)

日下ヒカル |  2009.05.27(水) 23:45 | URL |  【編集】

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