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デ・ジャ・ブの後に

2009.06.21 (Sun)

「今日、予定開いてる?」
会社の自販機が置いてあるところで声をかけられた。
彼は顔立ちも整っていて素敵な人で、仕事もこなしとても好感の持てる人物だった。
そんな彼が私にこんなことを聞いてくるなんて。
内心、いろんな期待と緊張で買ったばかりの缶ジュースを落としそうだった。
「開いてるけど・・・」
そういって、気分を落ち着かせるために一口飲んだ。
「もしよかったら、今日、食事に行かないか?」
そういった彼の顔は少し照れたような雰囲気を感じさせた。
それが安心感があり、私は「いいよ」と返事をした。

仕事が終わり、一時間くらい残業になりそうだったので
どうしようかと辺りを見回したが彼も忙しそうだった。
ふと、目が合い彼は指で時計を指して7と示した。
「7時に変更」という意味だろう。
私は頷いて仕事に戻った。
7時に終わった仕事。
慌てて更衣室に走り、急いで着替えて、化粧直しをした。
「あれ?珍しいね。お出かけ?」
と、更衣室で完璧に化粧を直す私の行動を不審に思った後輩といっても
仲が良いのでこんな風に話しかけてくる。
「うん、お出かけ」
それだけいって私はにこっと笑って見せた。
もちろん、彼女もそれ以上は聞かなかった。

会社の裏口から出てちょっと歩くとパーキングがある。
「お待たせ」
そういった私に気づいた彼は、車の側で立って待っていた。
「急に誘って悪かったかな・・・」という彼。
気にしているようだ。
「ううん、大丈夫」
そういって微笑むと彼は満足そうに助手席のドアを開けてくれた。
こういうことをされたのは初めてでちょっと戸惑った。
でも、促されて「座って」といわれたので座った。
車のエンジンがかかり、シートベルトを指摘され慌ててつけた。
それから二十分位したところに、どうみても洋風の豪華な住まいのような場所に着いた。
「ここ?」
「そう、ここがレストラン」
隠れ家的なレストランというやつと説明を受け、実際中に入ってみると
本当にお客様でいっぱいだった。
奥にカーテンのあるテーブル席へ案内されとても豪華なフルコースが運ばれてきた。
「あ、車なので水を」
私もお酒が苦手なので「私もお願いします」と答えると
「飲んでみるだけ飲んでみて」といわれお水とお酒が運ばれた。
飲んでみるととても美味しく飲みやすかった。
お食事も量も丁度よくちょっとほろ酔い気分。
いいお酒だわ。
食事も終わり、お店を出ると外はとても静かで星が綺麗だった。
「なんか、ありきたりだけど夜景見に行かない?」
空を見ながら私も星が綺麗だなって思った。
「うん、星みたい」
それから、車に乗ってすぐ近くにある山の上まで行った。
駐車場に車を止め、頂上までは歩くようだ。
ちょっと距離がある。
途中から階段になった。
「あれ?なんか、ここ前に来たことあったかな?」
と彼が言う。

あれ・・・私も誰かとここに着た気がするんだけど・・・。

「もしかして、君も感じてない?」
そういわれて振り返った彼の顔を見たとき、ふっと思い出したように
何かがよぎった。

苦しかった・・・ そう、とても苦しい思いをした。

「ごめん、ちょっと気分が・・・」
そういって振り返って階段を下りようとした。
「今更帰るの?」
冷たい声が聞こえた。

何かが潰れる音と、液体が飛び散って階段にぐにゃりと崩れ落ちた。
降りようとした私を追い越そうとした女性の姿。

「前にも、こんなことやった気がするよ。俺」
振り返る時間は、なかった。
ただ、彼が持っている何かが振り下ろされるまで。
私は掴んだ彼のネクタイを力の限り引っ張った。

階段から落ちる彼の姿が見えなくなるまで。
形すら留めていないだろう。

「星になれば、綺麗に見えるよ。デ・ジャ・ブを一緒に感じた仲だもの」

苦しかった思い。
それは、一瞬でも愛した人を殺した気持ちだったんだね。
08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(9)

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コメント

彼も彼女にもっとおいしいお酒をのましていれば、

星にならなくて済んだのかもね(^^)

今日も好き日に…。



ひろ |  2009.06.21(日) 12:52 | URL |  【編集】

ひろさんへ

美味しいお酒?もっと強いのってことかな?
たっ確かに(^^;;;
女の子も男の子も怖いですねぇ・・・
二人とも、同じ体験を以前しているということですからねぇ(汗)
今日は、雨ですねぇ~
でも昨日より涼しいから過ごしやすいです~
日下ヒカル |  2009.06.21(日) 14:11 | URL |  【編集】

拍手コメントの方へ

こんにちは(^-^)
コメントありがとうございます!
最後のオチは気に入っていただけたかな?
日下ヒカル |  2009.06.21(日) 15:20 | URL |  【編集】

そうか、この二人それぞれ別の相手と同じ体験をしてるんですねぇ~

そうだとすれば、別の女性が急に現れたのがリアルで納得です。

ヒカルさんの文章にぐいぐいとお酒を飲むように引き込まれていきましたよん~
ヘルブラウ |  2009.06.21(日) 20:53 | URL |  【編集】

ヘルブラウさんへ

> そうか、この二人それぞれ別の相手と同じ体験をしてるんですねぇ~
そうそう!
そうなんです~
二人とも恐ろしい人たちなんですよ~(^^;;;

お前達、前に何をしたんじゃー!と・・・ね。
お酒を飲むように(^^)
お酒がお好きなのかな?
私は、お酒が好きなのに弱いからけど、梅酒が大好きです~♪
後、塩がコップの淵についたやつ。。。(名前忘れました!!)
日下ヒカル |  2009.06.21(日) 21:08 | URL |  【編集】

デ・ジャ・ブがこんな怖いものだったとは……。
また最後のどんでん返し、やられました。
えめる |  2009.06.22(月) 00:18 | URL |  【編集】

えめるさんへ

(^^;
ほんと、怖いですよね・・・ この二人(汗)

>また最後のどんでん返し、やられました。

\(^▽^)/よかった♪ 
どんでん返しが最近中々思いつきませんで(滝汗)
日下ヒカル |  2009.06.22(月) 08:55 | URL |  【編集】

こんばんは

長編に気を取られ、こちらを読んでいませんでした。
一瞬でも愛した相手を殺した気持ち……
それを二人とも?
怖い二人ですね。

静かに読み進めていって
最後に一気に展開する。
しかも私の想像する範囲をいつも超えて……
まぁ、それが楽しみなんですけどね(笑)
空飛ぶミケ猫 |  2009.06.22(月) 20:52 | URL |  【編集】

空飛ぶミケ猫さんへ

この作品は、ふと気づいたら、こわっ!という話に。
でもって、如何にしてデ・ジャ・ブというものをキーにしていくかと
考えた作品でした。
最後の最後で、よくあるヒカルワールドなら彼から彼女が殺されてきゃー!で終わり
なんですが、二人ともデ・ジャ・ブを感じているのだからと
二人とも怖い体験を以前したような気がする人たちなんですよ。
いやはや、デ・ジャ・ブは恐ろしいですねぇ・・・
日下ヒカル |  2009.06.22(月) 22:34 | URL |  【編集】

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