サイトマップ
08月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫10月

スポンサーサイト

--.--.-- (--)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

拍手する


トラウマ

2009.07.06 (Mon)

「亡くなられたそうよ。かわいそうにね・・・」
「え?どうして・・・ですか?だってまだ、中学生でしたよね。お子さん」
「いじめがあってたらしいんだけど、気づかなかったみたいよ」
「いじめ・・・ですか」

職場で急に休みを取った上司。
その理由が、子供の自殺で原因はいじめだという。
どこまでが本当の話がわからないが上司はその後一週間以上会社を休んだ。

「いじめで自殺するなんて、私達のときじゃなかったよね」
「いじめってのはあったけど自殺まで考えるほどっていうのは無かったよね。不登校とかくらい?」
「自殺を考えるほど追い詰めるいじめって一体何してるんだろう。今の子供って」
「でもさ、いじめたやつって別に罪にならないんでしょ?」
「多分ねぇ」
「そんなのが、いずれ大人になるんだよ?!怖くない?!」
「うーん、まともな大人にはならないだろうね」
「絶対犯罪者とかになるって!」
「日本じゃ、成人してなければ積み軽いしね・・・」
「ホント、おかしいよね。更生する余地とかいうけどその責任言った人が取れって感じよね」
「どうせ、ほったらかして次の罪を犯したときに実は以前も・・・なんていうんでしょ」
「そういうのって、判決を下した裁判官に連絡すれば良いのに!」
「そんなことしてたら、裁判多すぎて無理なんじゃない?」
「えー!だっておかしいじゃん!ねぇ?そう思うでしょ?みーね」
「・・・」
「みーね?どうしたの?」
「え?あ・・・いや、別に」

耳が痛い。
それ以外の言葉は思いつかなかった。
いじめを受けた人間が自殺をするなんて、もちろん誰も思っていなかった。
だた、嫌がる姿や泣いている情け無い姿が自分より下に見えて
上に立った気分になり止らなくなった。
今考えても、何がきっかけでそんなことをし始めたのかさえ思い出せない。
気がついたときには、彼女のうわぐつを切り刻んだり
教科書を一部分ちぎったり、焼却炉にノートを投げ込んだり
エスカレートしていった。
そして、彼女自身への攻撃も始まった。
既にその時にはクラス全員から無視され孤独だった彼女。
担任すらもいじめを認識していても止めなかった。
泥水をかけたり、牛乳をかけたり、プールに突き落とした。
そんな日々がどれだけ続いたのかさえわからない。
当たり前の日常と課していたため、悪いことだという認識すらまったく無かった。

だが、ある日の朝。
全ては終わった。

教室に朝早く呼び出していた私達は教室に入るなり天井からぶら下がっている
私達のグループの中心人物が目に映った。
白いカーテンは、真赤になっていてポタポタとしずくが落ちている。
一部が破かれていて、それに巻きつけられぶら下がっていた。
首が千切れんばかりに裂かれている状態なのに。

黒板には、屋上に来なければ殺してやると殴り書きされていた。
私達は慌てて屋上に行くと、そこに彼女は手を真っ赤にして立っていた。

「どうだった?気分がいい?私はね、最高に気分がいいの」
彼女は狂喜に満ちた表情をしていた。
「散々やっておいて、何青い顔してんの?」
心の底から恐怖を感じた。
まったく声も出なければ、指一本さえ動かなかった。
「一生、忘れさせない。一生、呪い続けてやる」
そう叫ぶと、突然彼女は飛び降りた。
体が飛び上がるほどびっくりした。
ゆっくりと彼女が飛び降りたところに近づき下を見た。
その姿は、言葉に言い表せないほど酷かった。

彼女の言うとおり、大人になった今でも忘れられずあの事件は大問題となり
私達グループの全員が転校することとなった。
罪として具体的に問われたことはないが世間の目は厳しかった。
転校した先でも、あの事件のことが知られないだろうかとずっと恐れていた。

「みーね!上司が呼んでる。さっき、出社した見たいよ」
「なんだろ?」
一週間と二日休んだ上司が、突然昼過ぎに出社し私を呼び出した。
「失礼します」
上司が待っているという会議室に入った。
「呼び出してすまない。聞きたいことがあって・・・」
「何でしょうか?」
「知らなかったんだが、妻とは同級生なんだそうだね」
「え?」
「中学二年生まで同級生だったと聞かされてね、転校する前まで」
「・・・それが何か?」
グループの誰かが、上司の妻だったの?
「息子はいじめを苦にして自殺したんじゃないんだ。いじめた子が不登校になってから毎晩見る夢に怯えて自殺した」
「つまり、いじめを受けていたのではなくいじめていたんですか?」
「そうだ。君も妻と一緒に中学時代、事件を起こしたそうだね」
「・・・。」
「その事件で亡くなった人のお兄さんの子供を息子がいじめていた。そして、自殺した」
「え・・・?」
「だが、息子が見ていた夢には知らない女の子が出てくると泣いていたんだ。手を真赤にした女の子だといってね」
「・・・。」
「何か心当たりはあるか?妻は何も言わないんだ」
「覚えています。ですが、お話したくはありません」
「姉さんは、その時教室で首をつって自殺した。だが、自殺なんかするような姉じゃなかった」
「・・・まさか・・・あなたは」
「これは、お前達がいじめた子からの復讐じゃないのか!一体、何をしたんだ!!」
08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(11)

拍手する


コメント

因果応報

……って言葉が思い浮かびました
怪談累ヶ淵を思い出しました
いじめの被害者の弟が加害者と結婚してたんですね
新たないじめの被害者も昔の被害者の身内で
ヒカルさんのいじめの記述が具体的で怖いです
ライム |  2009.07.06(月) 10:41 | URL |  【編集】

ライムさんへ

あ!本当ですね!まさにそれ!
因果応報!
何の因果か・・・というアレですね(--;
トラウマはトラウマでも虐めた側も大人になってもずっと覚えていると思うんです。
それが、自殺だとしても間接的な殺人者だと思うのです。
立証されても罪にはならないのかなぁ・・・?
日下ヒカル |  2009.07.06(月) 11:20 | URL |  【編集】

ん?

いじめていたリーダーの弟と
そのグループの加害者が結婚してて
その子供が虐めていた人物が
親達の虐めて自殺した女の子のお兄さんの子供
だったのです。

ちょぉっとややこしかったですね(滝汗)
日下ヒカル |  2009.07.06(月) 11:28 | URL |  【編集】

こんばんは

あらためて関係を書かれると、何だか複雑ですね。
でも、最初に読んだ時、不思議に違和感なく、その関係がわかりました。

世の中にはそういう不思議なことがあるような気がします。
怖いですけどね。
このお話ではそれぞれが、そのことに気付く訳ですが、実際は気付かないうちに……ということがあるのかもしれません。

“いじめ”その関係性の難しさを上手に表現していると思いました。
特に私には大きな刺激になりました。
(決して、みーねさんの立場と同じではありませんよ(笑))
空飛ぶミケ猫 |  2009.07.06(月) 21:56 | URL |  【編集】

空飛ぶミケ猫さんへ

いじめられた側のトラウマの話は多分、多種多様に書かれていることが多いけど
いじめた側のトラウマって余りかかれないですよね。
それで、敢えて「いじめた側」のトラウマを書いて見ました。
普通に何の変哲もなく、ニュースでサラリと自殺の原因はいじめというけれど
「間接的殺人の犠牲者」といってもいいわけで。
つまり、いじめた人=殺人者になるのですよね。
集団でいるときは、平気でも一人部屋の中にいるとき忘れられるでしょうか?
平気では、ないと思うんです。
その心の影を出してみました。
日下ヒカル |  2009.07.06(月) 22:47 | URL |  【編集】

リニュ!

リニュおめでとうございます
ロマンチックな七夕仕様ですね
ヒカルさんの写真が星の乙女のようで素敵です

追)混同してすいませんでした(爆汗)
ライム |  2009.07.06(月) 23:42 | URL |  【編集】

NoTitle

おはようございまーす!

この少しダークな感じ、ヒカルさん節、
今回もハラハラしながら読ませて頂きました。

人より優れていたいと思う気持ちは誰だってあると思いますが、
蹴落として自分が優位に…というのがいじめの原因のひとつですよね。
昔学んだ心理学で、日本は昔から村八分といういじめの仕組みが成立していて
他人を下と見る事で自分の身分の低さや、生活苦を解消し、
心と体のバランスを取っていた、というのを聞いた事があります。
政にいじめを取り込んで、虐める側の心の安定を図るという文化が
今も根付いており、特に日本ではその傾向が強いようですね。
今回のお話はそんな事を思い出しながら読んでました。

すんなり読ませるだけではなく、
読者の心に訴えかける読ませ方ができるヒカルさん、
尊敬です。
D-3 |  2009.07.07(火) 05:15 | URL |  【編集】

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2009.07.07(火) 05:19 |  |  【編集】

ライムさんへ

いやぁ(汗)
テンプレートを昨日寝る前に朦朧とした意識の中でしたら
あちこちにコードを貼り付けるの忘れてました。
拍手ボタンないし!(滝汗)
朝から真っ青です。

いやん、写真がビスクドールのように綺麗で綺麗だなんて・・・
・・・そこまでいってないってつっこんでくださいね(汗)
日下ヒカル |  2009.07.07(火) 09:01 | URL |  【編集】

D-3さんへ

おはようございま~す!
いつもダークな(^^;世界へようこそ!
コメントありがとうございます!

そうそう!日本って不思議ですよね。
差別大国とはいわないけど、似たようなことわざ沢山あるし!
出る杭は打たれるとか!
村八分もそうですね!
中学生のときの社会の先生はとても差別に対して熱心に語られていたので
私はその時に学びました。
おかしいね、確かにと。
日本の歴史の中で、古くからある伝統で受け継いでいく素敵な文化もあるけれど
因習じみた習慣づいてしまったものほどいつの間にか勝手に受け継いでいる。
人の不幸は蜜の味とかも、そうかな?
何かを伝える・訴えることが苦手なので物語に転化してお話作ってます(^-^)
日下ヒカル |  2009.07.07(火) 09:06 | URL |  【編集】

↑の方へ

ありがとうございます!m(_)m
ジャンルが違う且つ私の死体がごろごろ転がっているサイトで
申し上げにかったのですが、嬉しいです!!
よろしくお願いいたします(^-^)
日下ヒカル |  2009.07.07(火) 09:09 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

トラックバック

この記事のトラックバックURL

→http://virtualworlds.blog87.fc2.com/tb.php/312-fd1f5967

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。