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厄介者と音楽を

2009.08.10 (Mon)

来た事も、聞いたことも無い人間の家に住むことになった。
それが母が死んで葬式が終わった後、父だという人が迎えに来たときのことに遡る。
父なんてものが自分に存在するとは露知らず
突然現れた年老いた男に驚いた。
母の遺言まであったが、まさかその遺言がこのちっぽけなアパート住まいの私を
今まで住んで暮らしてきた場所から追い出し、更には国境を超える事態になろうとは
思ってもみなかった。
大体、勝手に死んでおいて私を誰かに押し付けるってどういうことよ。
「誰、この女は」
それが、この家の玄関を入ってすぐの言葉で
「靴を脱げ!何を考えとるんじゃ!」
が、次の言葉だった。
本当に、日本人って靴を部屋で履かないんだと思った。
私を連れてきた男は、玄関先で私と別れこの家ににはいらなかった。
何故この目の前にいるばあさんが怒っているのかも
何故ここまで連れて来た父とやらは置いていったのかも
まったく理解できないまま
靴を脱いで家に入った。
「厄介者がきなさったぞ」
この家の親族らしき人間達が集まっており、一斉に私を睨み付けた。
「こんばんは」
日本語はわかるが、書くことや読むことはあまり得意ではない。
厄介者という意味もわかった。
だが、「めかけの子供なんだよ」という意味だけがわからなかった。
夜、与えられた部屋には既に荷物が届いており荷解きがされ綺麗に家具も整えてあった。
全てが突然の出来事で
全てが自分を置いていったまま先に進んで
その地点まで突然あらゆる事柄を省いてそこにポンと置いた。
そんな感じだ。
「名前は?」
そう聞いてきたのは、突然部屋に入ってきた男の子だった。
「・・・ハル。ハルリゼル」
「ふ~ん。マジで外人なんだ」
「外人はやめてくれないか。その言葉は嫌いなんだ。外人は」
「なんで?」
「差別的に感じる」
「そうか。それはすまない」
「聞いていいかな?」
「何?」
「めかけってどういう意味?」
「あぁ・・・意味がわかってなかったんだ。よく怒らなかったなと思ったけど」
「怒るような言葉なの?」
「本妻じゃない人の子供ってことだよ」
「それをめかけって言うの?」
「めかけだけをいうなら、本妻以外の女の人。つまり、愛人だ」
「・・・愛人・・」
「知らなかったの?」
「父親がいること自体が驚いたし、どう見ても自分の祖父かと思ったよ」
「だろうね。君は俺より年下だけどおばさんなんだからね」
「・・おば・・・」
「そうだよ」
私がどういう立場かはわかった。
つまり、厄介者といわれる所以はそこにある。
ならば何故わざわざ迎えに来た?
「座っても?」
「どうぞ」
「バイオリン弾くの?」
「それで食べてた」
「食べてた?」
「働いてたから」
「そう・・・」
「歌って」
「え?俺が?」
「そう、歌って。知ってるでしょう。この曲なら」
私はいつものように最初の曲を弾いた。
一番のお気に入りの曲を。

それを弾いた翌日、音色はこの家中に広がっていて
一番最初に出迎えた女の人が私に言ったんだ。

「あなたがうちの子になるなら、条件があるの」
「はい」
「もう、二度とバイオリンを弾かないで頂戴」
「何故ですか?」
「・・・あの曲は私の父と母が大好きな曲よ。何故あなたがその曲を弾くの!」
「私は個人的に好きな曲です。私の母もよくこの曲を聞いていて、歌っていました」
「そうよ!その曲を歌っていた姿を気に入ったとか言ってあんたが生まれたのよ!」
「じゃぁ、私は歌から生まれた子供なんですね」
「・・・は?」
「歌は世界を繋ぐから、国境は無いでしょう?」
「何を言ってるの?」
「だって、私を迎えに来た人。その黒い額縁に入っている人だから。あの人は今どこ?」
08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(10)

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コメント

厄介者。

ここに住まわせて貰いたかったら
条件を呑めって・・・真に受けて 約束を守っても
何時までも 置いて貰えないんだよ。
妾の子で無くても 実の子でも 
邪険にされることは いくらでもあるし。
パパさん 気にしてたんだね、娘の行く末。
みかん  |  2009.08.10(月) 11:13 | URL |  【編集】

みかんさんへ

そうですね。
信じても 裏切られることの方が 多いですもんね・・・
パパはずっと気にしていたのです。
本妻とうまくいかず、夫としてやってきたものの離縁など出来る環境ではなかった。
けれど、生まれた小さな娘が可愛く気になっていたのですが
妾という立場は娘の母はちゃんとわかっていたので、国外で生計を立てていた。
けれど、死んでしまったということを天国で知ったのです。
それで 迎えに来たのでした。
声をかけてくれた少年が彼女を救ってくれます。
パパはそれをわかっていたので連れて来たのでした。
日下ヒカル |  2009.08.10(月) 13:34 | URL |  【編集】

これは

主人公を迎えにきたお父さんがユーレイなんですね
お母さんが死んで身寄りがなくなったので日本の本妻の家に連れていった
その状況が幸せかどうかわかんないですけどねー……

あ、ライムです
携帯からコメ書いてます
不審者ではありません……
ライム |  2009.08.10(月) 14:41 | URL |  【編集】

ライムさんへ

そうなんです~
お父さんといっても、もうおじいちゃんの年齢ですが。。。
随分前になくなっていたのですが心配で迎えに来てしまいました。
孫に当たる少年が優しい子なので預けたのです。
あ、お名前 ちゃんとライムさんと表示されてますよ~♪
日下ヒカル |  2009.08.10(月) 14:53 | URL |  【編集】

1人が楽だと思いながらも、
さみしー思いをしているDさんがやってきましたよ★
(おっとこれは昨日の話でした)

お父さんは幽霊になっても尚、本妻の娘ではないとはいえ
娘の事を思っていたのでしょうか…。

ただ、不倫はだめだー!
ボクまじめ!(笑)
D-3 |  2009.08.10(月) 19:49 | URL |  【編集】

D-3さんへ

あら?私、書きましたっけ?
一人が楽だと思いつつも、さみし~と思っていると・・・
あらあら(汗)
いつ書いたかな?(汗)
あれ、でもどっかで書いた気がする(汗)

そう、心配で来ちゃったんです。
昔はよくあることなのよなんて話を聞いて作った物語でした。
まぁ私も不倫や浮気は許しませんとも。
えぇ、もちろん。
あの本を使って・・ あら。いやだわ(^^;;;
なんでもないです。。。
日下ヒカル |  2009.08.10(月) 20:44 | URL |  【編集】

こんにちは

ちょっと変な言い方かもしれませんが……
愛人がいて子どもをつくる。
でも、自分が死んでもなお気にしているその男性。
そんな男性ならまだ許せます。(男の論理?)

自分の本妻や子どもさえ養えないような男がいる今の世の中ですからね。

でも、その家にいる男の子、素敵ですね。
そんな家で良かったです。
空飛ぶミケ猫 |  2009.08.10(月) 20:54 | URL |  【編集】

空飛ぶミケ猫さんへ

女性はやはり立場を考え身を引きました。
ただ、子供は生み育てました。
生活も頼ることなく、一人で育て連絡もしませんでした。
それでもやっぱり、気になっていたのです。
色々昔は好きに恋愛で結婚などとうまく行かないこともあっただろうなと思って。
その点がわかっているからこそ、まぁ男の子は何も言わず
普通に受け入れました。
厄介者といいつつも部屋の荷解きをしたのは女性物ですから、奥さんでしょうしね・・・
日下ヒカル |  2009.08.10(月) 21:20 | URL |  【編集】

怖ー!? 愛はかつ

私を迎えに来た人。その黒い額縁に入っている人だから・・・。』
 ⇒ ここでいつもは、怖い!! となるのですが、今回は何故か、『愛』が かってましたよ。
お父さんの愛?お母さんの愛?

ところで、不思議な事は、亡くなって随分時が流れていると思うのですが、お父さん何故かお爺さんなんですね?? あの世で年をとってたのかな??
もしかしたら、歳の離れたお父さん?
でも、もう孫もいるし、公私に活躍?したのは、父の若い頃だと思うし・・・ですよね??


クメール 伝道師 |  2009.08.11(火) 00:28 | URL |  【編集】

クメール 伝道師さんへ

お父さんの愛ですね~
愛してした人はずいぶん年の離れた人で、好きでもない人と結婚を強いられ
それでも仕方ないと諦めていたのですが
出会ったしまった。
んでもって、愛して子供が生まれました。
許されるはずも無く、主人公の母は身を引き異国へ
そう、お父さんはなくなって随分経っているのです。
孫より年下のおばさんですから随分年取ってから「恋」をしたのです~
日下ヒカル |  2009.08.11(火) 08:49 | URL |  【編集】

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