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神の使いと罪の償い

2009.09.12 (Sat)

結果を見て、それが戒めだったとしても、偶然起きた事故だったとしても
返せという強い気持ちがあったのだ。
結果、最悪の事態を招いた。
わからない少年はきっとこう思っただろう。
「鹿のためだけに・・・」と。

少年に対して命の重さに対する考え方、それを教えるきっかけとなり最後となった。
子供だろうと罪とし罰と教え、取り返しのつかぬ事をしたとして教えた。
子供だからとて許されるなどというのはおかしな話ではないだろうか。
許した子供の歪みを本当に正すことなど出来ようか?
利己的に命を奪ったものが、正せるものなのだろうか。
少年の母は泣いていたが止めなかったという。

神の使いとされた鹿がいた。
その鹿がふらりとやってきて、少年の草子を捕っていってしまった。
少年は手元にあった文鎮を投げつけた。
鹿に当たり、鹿はその場に倒れ息絶えた。

「なんて罰当たりな!」
「神の使いの鹿を殺すなど!」

大人たちは集まり少年を捕まえ縛り上げた。
大人たちは口々に「なんて恐ろしいことを」「なんて罰当たりな」と話している。
少年は鹿が神の使いだと知っていた。
だが、こんなことになるとは知らなかった。
目の前で大人たちが縦長い穴を掘っている。
それが何を意味するのか少なからず予想は出来た。
横たわる鹿と穴が恐怖をどんどん膨らませる。
声も出ず縛り上げられた少年は必死に縄をほどこうともがいた。
少年の頭が出るくらいの縦穴が完成し、鹿の亡骸をそこに横たえ
少年を穴の中に立たせた。

「石子詰めにしろ」

それが、少年の最後を告げる言葉だった。
少年は鹿を殺した罪によって私刑となったのだ。

衝動的なことだったのかもしれない。
少年は捕られた草子を持っていくなという気持ちから重たい文鎮を投げた。
そして、鹿は命を落とした。

少年の入れられた穴には、少しずつかけられていく小さな小石が
足元から段々と自分を埋めていく。
段々とわきあがる恐怖が、鹿の冷たくなっていく体と共に実感する。

命を奪う罪。

それは生きるためのものならば許されるのかというと、都合のいい解釈かもしれない。
その命を頂き自分の体を巡らせ回帰し土に返る。
そうして、人間も循環してきたはずだった。
少年は知らなかった。
食べている肉と側にいる鹿の命の違いに。
その意味と。
その罪の存在を。

「僕が・・・悪いの?」
「神の使いの鹿を殺した罪は重い。お前は死を持って償うしかない」
「草子を・・・取られたから・・・」
「殺してまで、殺してまで取り返さなければならないのか?」
「死ぬなんて・・・思わなかった・・・」
「当たればどうなるかくらいわかる年だろう」
「だって・・・当たっても怪我する位だって・・・」
「怪我なら許されるとでも思っているのか」
「・・・ちっちがうけど・・・」
「なら、何故投げた」
「・・・」
「お前は恐ろしい。草子を捕られた。その程度で殺そうとしたお前が恐ろしい」
「殺そうだなんて思ってないよ!」
「怪我ならさせてもいいのか」
「・・・」
「私たち大人がしていることも正しいとはいえないだろう。
だが、鹿にとってお前が殺したという事実は変わらない。
何よりも恨みがましく思い、草子を捕っただけでと魂になってもその恨みに囚われ
成仏できないだろう。
その恨みを一生抱えそのまま生きるもいいだろう。
だが、私たちは恐ろしい。お前が大人になり物事の分別がつき自己を持った時
お前が何をするのかを考えると恐ろしい」
「もうしないから!もうしないから許して!」
「許したところで、お前の側に居る鹿はどうなる。生き返るのか?」
「・・・」
「命を奪うにはそれなりに背負うものがある。
生きていくことで命は奪い続けているだろう。
沢山の命は沢山の命の中を巡り、回帰する。
ひとつひとつの体すべてに自分の命を生かすため、命を取り込んでいる。
生きることが罪だとは誰も言わないだろう。
それは平等に同じ事をしている。
お前は埋められている最中でさえも、自分の命のことしか考えていない。
それが、恐ろしいんだ。
鹿を殺したことを、悔いていまい」

少年はそれ以後何もいわず、ただ涙を流し続け頭だけになるまで埋められたとき
隙間風が吹くような息づかいの中、静かに目を閉じた。

「供養に私は紅葉を植えたいのです」

そういった母親は、涙しながらも鹿の命を奪ったことに申し訳ないと泣き続けた。
そして、わが子を失ったという悲しみは消えないと泣いた。
いかなる理由があろうとも、わが子が一番だった。
それを食い止められなかった。
自分も連座として埋められかねない。
親族一同、何もいわなかった。
神の使いを殺した罪の償いに逆らうものはいなかった。

「ここから出して」

それが、少年の最後に口にした言葉だった。

追記です。


まず、お願いがあります。
鹿を嫌いにならないでくださいませ。
これをきっかけに、鹿さんを嫌いになってほしくなかったから・・・



石子詰めとは、史実のようです。
私刑として用いられた残酷な殺し方の一つです。
リクエスト頂いてこのお話を作りました。

リクエストの題材についてお願いがあります。
私は動物の死を扱う物語を作れません。
ですので、リクエストの際に「動物の死を伴う何か」はご遠慮ください。
勝手ではありますが、ご了承くださいませ。

リクエストを頂き、「石子詰め」という言葉を知りイレギュラーですがこの短編を作りました。
趣旨が違うかもしれないけど、私の解釈を混ぜ新たな物語です。
実際のお話とはちょっと違います。

命の大切さ を テーマにしました。
といっても、普段いわれている命の大切さとは少し違うかもしれません。
もっと現実的な生々しさをもった「命の大切さ」を書きました。

本来はどちらかというと鹿を殺したというだけなのに、という雰囲気を持つ
可愛そうな少年のお話であり、教訓的に作られたものようです。
実際にあった話ではないようですが、供養の鐘というものがあるそうです。
ただ、鹿を殺した罪で私刑を受けたという史実はあるようです。
でもって、この鹿さんとは、奈良の鹿さんです。

鹿さんは・・・いうなれば、勝手に人間に祭り上げられて崇められているので
何の罪もないと思うのです。
ですから、鹿せんべいをあげたくないと思わないで
奈良にいかれた際は鹿さんと仲良くして、鹿せんべいをあげてくださいませ(涙)
私刑なんて、鹿さんが望んだわけじゃないので・・・。
お願いしますm(_)m




以上、追記でした。
08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(12)

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コメント

こんにちは

“命を奪う罪も生きるためのものならば許される”
許されているのかどうか、誰から許されているのかと思うと深みにはまりそうですが、
実際に私たちは多くの命を頂いて生かせてもらっています。

ところが、同じ命を奪うことでも生きるためではないとわかるとその意味が大きく変わってしまい、人は嫌悪感を覚える。
…なぜでしょうね。
それこそが、許されているものかどうかの違いなのでしょうか。

少年の罪は重いと言いつつ、生きるため以外のことでこの少年を殺してしまう。
矛盾するようですが、現実にこの世界で多くあることですね。

なんだか難しいことですね
空飛ぶミケ猫 |  2009.09.12(土) 09:32 | URL |  【編集】

空飛ぶミケ猫さんへ

命を奪っているという結果だけ見るとみんなおなじですね。
確かに矛盾です。

一度、誰だったかな・・・子供だったと思うんだけど・・・言われたことがあって何もいえなかったからおぼえてるのかな。
一人を殺したら死刑になる悪いことなのに、戦争でたくさん人を殺したら誉められるの?って。
絶句した記憶があるんですよね。いつ言われたんだろう・・・。
この言葉だけすごく覚えています。
自分も子供だったけど、高学年で低学年のこに言われたんだったかなぁ・・・
そんなこと考えたこともなかったから、そういわれりゃそうなんだけどどう答えるべきかと思ったなぁ・・・
今でもその答えは、なんと言っていいのやら・・・。

この物語上では、大人たちは自分達のみを守るために少年を殺しました。
何するかわからない大人に育つという恐怖に駆られて。
極端ですが、死刑制度がある日本ですが成人していないからといって罪の重さが変わるのは
如何なものかという考えを私はもっているのです。
その犯罪にいたった経過は考慮すべきとは思いますが。
誰でもいいから殺したかったなんていう成人していない人が、少年法に守られすぐに出てきたら怖いと感じますし、なんで子供だからって許されるの!って思います・・・。
日下ヒカル |  2009.09.12(土) 10:18 | URL |  【編集】

リクエストに応えてくれてありがとうございます

死ぬなんて・・・思わなかった・・・」
  ⇒ 鹿自身も三作自身も思わなかった。
何故思わぬことが起きたのか?
鹿の話は思わぬ災難。
三作の話は大人の思惑もあってのこと。
動物の命の重さと人の命の重さの比重。
何故こんなことに・・・。
色々考え暗澹たる思いになりました。
この物語、色々考えさせられます。

無理を言って申し訳ありませんでした。
ヒカルワールドの期待通りの心に残る作品ですね。
ありがとうございました。

まだちょっと作品の中から抜け出せずにいます・・・。


【クメール】伝道師 |  2009.09.12(土) 11:37 | URL |  【編集】

【クメール】伝道師さんへ

中々難しいテーマでした。
どちらかというと、本来のお話は三作に対して大人の事情としきたり等をぶつけた理不尽な話。
という印象を受けました。
今回、敢えて大人の立場を混ぜ込みどちらかというと「大人事情」をメインとしました。
矛盾があらゆる方向から降り注ぐ中、命とはという話をもってくることで
なんとも言いがたいどちらが悪いとか悪くないとかそんな問題じゃなくて・・という
モヤモヤした気分になってしまうと思います。
意外性を含めた物語としましたが、ご期待に添えるか正直不安でした(^^;

史実ということもありまして、今回はイレギュラーってことで。
こんな歴史があったとは驚きですが・・・。
日下ヒカル |  2009.09.12(土) 13:12 | URL |  【編集】

今は人間中心の世界、子供は平気でダンゴムシやアリを殺しちゃいますもんね・・・もし他の生物中心だったら人間も平気で殺されるかもしれません。自分達も害になる生物はすぐ殺しますもんね、ゴキブリとか
k |  2009.09.12(土) 13:59 | URL |  【編集】

kさんへ

うーん(滝汗)
Gさんと仲良くは確かに難しいかも・・・ うーん うーん(滝汗)
うーーーーーーーーーーーーーん(汗)
日下ヒカル |  2009.09.12(土) 17:02 | URL |  【編集】

これは難しいテーマですね…。
クメールさん…なんつーリクエストを(笑)

生き物の中で唯一人間だけが理性を持ち、
また、摂理から外れた価値観で命を見ていますよね。
私達もそういう見方をしてるのに、
この物語はそれが行き過ぎただけなのに
何でこんなふざけんなー!って思いになるんでしょうねー。
エゴなのかなあ…。

人によっても違うし、この分野は難しすぎますね><
結論でません!
D-3 |  2009.09.12(土) 20:25 | URL |  【編集】

D-3さんへ

難しかったです・・・(^^;
どっちかにしか、立てないテーマで。
人間か動物かになって。
どっちの命を天秤にかけるかになってしまうので・・・
私の主義主張を重視し鹿さんを重点としました。
ただ、子供の行動で問題視されていることもあるから動物に対するいじめとかをなくしたいという
思いを込めて、いつも通り極端だけど大人から怒られた時大人も暴走するわよ・・・
という警鐘を鳴らしてみました。。。

ホント、結論でませんね(^^;

ところで、Dさん。全然話し変わって質問です。
偏頭痛のときって光りが眩しい?パソコンの画面とかTVとか見てられないくらいになる?
偏頭痛なんだろうかと疑うほどぐらんぐらんしてるんだけど・・・(涙)
一応、CTでは脳みそOKって出たんだが・・・病院にまたいったがいいのかなぁ?
日下ヒカル |  2009.09.12(土) 20:34 | URL |  【編集】

お話に関係ないコメントで恐縮です><
ヒカルさんのご質問に答えますと、
本当にヒドイ偏頭痛の時は光りがやたら眩しく感じますよ。

しかも、ほっとくと吐き気まで出てくるヤバさです。
蛍光灯くらいならまだいいんですが、太陽の光りや、
テレビ(パソコンのモニター)の光りを食らうと大変な事になりますね…。

ですが、部屋で痛い痛いとじっとしてても治らないので、
セデスハイ(薬局に売ってますがちょっと強めの薬)を飲んで、
ぱーっと遊びにいっちゃいます。
ドライブだったり散歩だったり…。
結構酷い痛みでも、気付くと痛みが引いてます。

ただ、私の症状とヒカルさんの症状の原因が違うかもしれないので、
鵜呑みにはしないでくださいね~。

お大事に!!
D-3 |  2009.09.12(土) 20:53 | URL |  【編集】

(涙)

鹿も子どももかわいそうだ

矛盾のしわ寄せは、弱いところにしかいかない……(涙涙涙)
ライム |  2009.09.12(土) 21:27 | URL |  【編集】

D-3さんへ

お返事をこんなに早くいただけてこちらこそ本当に恐縮ですm(_)m
・・・吐き気まできてるヤバさがずっと続いてるとは結構、酷いんですね私・・・orz

やっぱり光りは大敵か!!

めまいが酷いんで、あまり起きていられないし。
動かすとくらくらして・・・
うーん><;;;

アドバイスありがとうございます!
薬はききすぎる体質なので、セデスハイって痛み止めかな?胃が悪くなるから
無理かなぁ・・・
レルパックスで副作用(結構酷かった)倒れた人だから・・・
うーん・・・突然なるものなんですねぇ・・・偏頭痛とやらは><;;;
日下ヒカル |  2009.09.12(土) 21:29 | URL |  【編集】

ライムさんへ

あわわわΣ(´□`;)
泣かないでぇ・・・ 矛盾はいっぱいですね・・・
何が一番と優劣が付けにくい題材でした。
これはやっぱり、人によって感じ方が180度かわりますものね・・・
日下ヒカル |  2009.09.12(土) 22:10 | URL |  【編集】

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