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質問を投げた男

2009.11.02 (Mon)

ヘッドフォンから流れ頭を満たす音声は、楽器と共に共存していながらも
ひときわ目立つ存在だというのは奇妙に感じる。
なくなると、急に別世界に引き戻され目の前にある陳列された品物を
品定めに来たんだと思い出させられる。

唐突に断末魔さえも聞かされることも無く、その機能を停止した。
機能停止だというカウントダウンさえ聞こえない。
気がつけば既にそこに魂は無かった。
そんな感じだ。
肉体は残されただの形を成す抜け殻。
心すらそこに存在していたことを忘れさせるほどの冷たさ。
あぁ死んだのかと実感させるためにわざわざ残すんだ。
見せ付けるように。
思い知らせるように。
終わったということを、気づかせるために。

ほんのさっきまで暖かかった体。
体内をめぐる鼓動。
脈打つ中心。
流れる液体。
透明な目。

でも今はもう輝きを失い、黒く塗りつぶされ、光りを閉ざし
循環を止め、鼓動を諦め、中心から硬くなる。

ゆっくりと。
確実に。
時間をかけ、温かい体は抜け殻になっていく。
力の無い心が抜けたそれは、骨の髄まで溶かし全てを流しだす。
気がつけばあっというまにただの証になる。
生きた 証。
ここにいた 証。

「すみません」

大きな声で耳元に叫ばれた。
怪訝な顔をして僕は彼を見た。
彼は不思議そうな顔をしているが、どちらかというと怒りに近い。
「なんですか?」
「どうして・・・どうしてなんですか!」
そういう彼は僕の背中を見ていた。
彼が何を言いたいのかすぐにわかったが、僕は前を向き世界から離脱した。
「何故!何故答えてくれないんですか!どうしたら・・・どうしたらあなたは・・」

楽器と声とそれから生まれた波に混じって割り込んでくる叫び声は
意外と心地よかった。
だから、僕は彼を見てクスリと笑って見せた。

彼は諦めるつもりはないらしく、何度も何度も試していた。
無駄なことを。
意味のないことを。
もう冷たいというのに。
もうここに存在しないというのに。

何故気づかないのか。

それは、誰が僕に聞いたんだっけ?
07:33  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(6)

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コメント

うーん。こういう文章題好き。
主人公の心情にすっと入りこめました。

声をかけた男と、冷たくなっていく男、
どんないきさつがあったのか
色々想像しちった^・▽・^

最後の一言がとっても決まってるね!
えめる |  2009.11.02(月) 11:25 | URL |  【編集】

えめるさんへ

この物語は長編タイプの書き方をして作りました。
意外と雰囲気あるもので作れましたー(^-^)
主人公冷たいし…(滝汗)
日下ヒカル |  2009.11.02(月) 12:16 | URL |  【編集】

ヘッドフォンを聞きながら飛び降り自殺を図った男

何とか救命しようと一生懸命な救急隊員
――の、やり取りを連想しました……
ライム |  2009.11.02(月) 14:39 | URL |  【編集】

こんにちは

僕はもう死んじゃったんですね。
そして、僕は死んだ僕を客観的に見ている。
ところが客観的に見ないで、一生懸命に働きかけている人がいる…。
僕って冷静なんですね。死んだというのに…。
空飛ぶミケ猫 |  2009.11.02(月) 20:25 | URL |  【編集】

ライムさんへ

おぉぉ!
この物語の場合、肝心なお互いの状態をすっぱ抜いて考えているから
そこで色々な設定が当てはめれますよね!
すごい!
こうなるのか、ライムさんの頭の中は!
って、あれ?
寝てなくて大丈夫?!(;;)
日下ヒカル |  2009.11.02(月) 20:47 | URL |  【編集】

空飛ぶミケ猫さんへ

そうなんです、僕は死んだということを理解してて
それを理解しようとしない助けよとしている人物に対し、不思議にかんじているのでした。
僕は自分で死を選んだので客観視できるのです~
でも、どうしてそんなことを!といわれても、選んだので理解できなかったという・・・
日下ヒカル |  2009.11.02(月) 20:50 | URL |  【編集】

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