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そんな靴で歩けるか!

2010.01.15 (Fri)

シンデレラという名前の娘がいた。
彼女は特に日々の日常に不満を抱いているわけでもなかったが、今現在だけは不満しかなかった。

「なんで、ガラスの靴にするのよ!」
「綺麗だからのぉ~」
「歩きづらいって気づくかない?!」
「そうかのぉ~?」
「自分で歩いてみなさいよ!!」
「体重が重いから無理じゃよ」
「私の体重なんで知ってんのよ!」
「知らないが、例え怪我してもわたしゃ痛くない」
「なっ!!!!」

殴り倒したい。
その言葉だけがシンデレラの頭を支配した。

その数時間前。

「今日の舞踏会は何を着ていこうかしら?」
「そうよ!王子は結婚相手を探しているのよ!念入りにしなくちゃ!」
「お母様、これいかがかしら?!」
「そうね!流行のドレスと独特なトレンドを合わせたいいデザインね!美容院の予約をしておいてよかったわ!」
「お姉さま、これ素敵でしょ?」
「どうしたの!?そのドレス!手に入らなかったのに!」
「ワンサイズ小さいのにしたら手に入ったから無理やりきたのよ!コルセットが苦しくて窒息しそうだけど」
「さぁ、お前達、行きましょう。ほーっほっほほっほ」

五月蝿い女の集団が出て行ってくれたことが、シンデレラにとって幸せだった。

あぁ、夕食の支度をせずに済むわ。
面倒なことばかり。
とりあえずご飯食べさせてもらえるし、その点に文句はないけれど
小言がなくなれば満点ね。
それにしても変わった王子様。
この村の女の中から嫁を探すなんて。
馬鹿にもほどがあるわ。
貧乏人が犇めき合って、どんぐりの背比べの生活をして
私のような存在と殆ど変わらない暮らしぶりで
変わるといえば身なりだけ。
後は、内に秘める強欲の度合いかしら。
私はどうでもいいわ。
あんな王子なんて。
どうせ、ろくなことないもの。
今の生活より安定しているなんて保証なんてない。
それこそ妻なんていう餌をぶら下げているだけで、何させられるかわからないじゃない。
とんでもない変態だったらどうするのよ。
毎晩、ベッドに縛ってくれなんて言い出したら。
いや、縛らせろなんていいはじめたらもっと最悪!
アイスピックをベッドの下に忍ばせておくしかないじゃない。
付き合ってみないとわからないのに、その期間がまったく無しで結婚よ?
ありえないって。
身売りじゃないんだから。

ぶつぶつと独り言を言いながら、シンデレラは寝床のキッチンに座っていた。
まさか自分が舞踏会に行くことになるとは思いもせず。

「お前さんを舞踏会にいかせてあげよう」
突然の声に驚いたシンデレラ。
「結構です」
勝手に入ってきた怪しい人物を追い出し鍵を閉め、普段は食べないちょっとした贅沢な食事を楽しんでいた。
「話を聞きなさい」
またもや勝手に入ってくる。
「なんですか?!魔法使って。ちょっとずるいんじゃありません?っていうかプライバシー守ってよ!」
「舞踏会へ行きたいだろう?お前さんも」
「行きたくないわよ」
「何故じゃ。うまいものもあるのに」
「そんなうまい話だけの世界があるわけないじゃない」
「あるんじゃよ」
「ないっつーの。邪魔しないで!一人でゆっくり食事を楽しみたいの」
「話のわからんやつだ。ほれ!」

魔法使いは薄ら笑いを浮かべながらシンデレラの腕を掴み、口から煙を出したかと思うと
家の外にいた。
外に連れ出されたシンデレラは光の渦に巻き込まれ、目を開けると綺麗なドレスを身にまとい素晴らしいメイクとヘアアレンジが施された姿になっていた。
「・・・何これ」
「さぁ、舞踏会へ行くのじゃ!」
「はぁ?!え?!ちょちょっと!きゃぁぁぁぁぁぁぁああああ!」

魔法使いは白い棒に星の付いたステッキをくるくる回しながら振りかざすと
シンデレラはかぼちゃの馬車に収納され、光の速さで会場に着いた。

「その魔法は夜中の十二時までしかもたない。十二時を過ぎたらすっぽんぽんじゃ」

とんでもないことを魔法で伝えてきた魔法使いに怒り心頭といった表情で舞踏会場に立っていた。
シンデレラとはとても思えないほど美人な姿で。
これが現状に至るまでの経緯。

「仕方ない。食べて帰ろう」

食欲だけは勝てなかった。
ご馳走を食べさっさと帰ろうと決めたシンデレラは、舞踏会場へ遅れてはいる。
すると、注目される視線。
見られている。
その異様な雰囲気に戸惑いながらも、ゆっくりと歩くと目の前に王子がいた。
「一曲、踊ってくれますか?」
考えていた人物よりも王子はまともな立ち振る舞いで、姿かたちも素敵だった。
シンデレラの勝手な思い込みは輪をかけて酷いやつとされていたのだが。
「意外と普通の人なんですね」
踊りなど知らないはずなのに、王子がリードしてまるで知っているかのごとく踊れている。
「この舞踏会も僕が開いたわけじゃありません。家臣や周りの者達の意向です」
「ふーん・・・じゃぁ、誰も嫁にする気なんてなかったんですね」
「えぇ。僕ではなく、僕に付随するものしか皆みてないでしょう?だから嫁なんて考えたこともなくて」
「まぁ、確かに生活のこともあるので付随するものは見てしまいますね。借金だらけとか、無職ですなんていわれたらさすがに難しいですものね。私自身も、そういい仕事をしているわけではないので。していれば、別ですが」
「そうですね。確かに考えるでしょうね。そういう目ではないでしょう?彼女たちは」
「そうですね。贅沢をしたい。それだけだと思いますよ」
「お金があって不自由はありませんが、自由があるかといわれると即答できる自信はありません」
「ないよりいいですよ。無いとそんなこといってられませんから」
「そうですね」
「何をするにもお金だから、きっと人はあの紙切れに悪い魔法をかけられたんですよ」
「悪い魔法ですか?」
「そう。だって、お金ほしさに身も心も侵食されて本来の目的を見失っている気がする」
「本来の目的とは?」
「人を愛することです。そして、幸せに元気に生きること」
「なるほど」
「もちろん、それにはお金も必要です。それは生きていくうえで必要最低限のものに当てはまるでしょう。けれどそれだけじゃないってことが、頭の隅にでもあればきっとお仕事やお金以外のことにも目が向くでしょうね。人間性や仕事やお金、どちらかが完璧だとしてもバランスがなっていない。それでは、生涯共に出来ませんよ」
「その通りですね、あなたお名前は・・・?」
「あ!!」

話に夢中になり、踊っていたその時、目には映ったのは大きな時計が十二時一分前を指している。

「ちょっとごめんなさい!また今度!!」
このままでは素っ裸になってしまう。
猛ダッシュで走りたいが、ガラスの靴。
なんて歩きづらいんだ!!
シンデレラは誰もいないことを確認すると、靴を脱ぎ捨てその辺に投げた。
それからドレスの裾をたくし上げ走った。
デザイン的な長い階段が憎らしい。
投げ捨てた靴が階段に転がっている。
蹴っ飛ばして端にやるとそのまま森の中に入った。
途端、魔法は解け素っ裸に。

あの魔法使い、今度会ったらぶちのめす!!

こうやって二人は出会った。
王子 二十歳 シンデレラ 十六歳。
魔法で消えるはずのガラスの靴は、王子の手の中にある。

「あの子を探そう」

それ以来、シンデレラは逃げ回っている。
ストーカー被害から。

「もぉ!しつこい!ガラスの靴なんか履けるわけないでしょう!」
「君しかいないんだ!」
「無理よ!入らない!」
「絶対に君だ!そんなに太っていても僕の眼に狂いはない!!」
「太っ・・・!!五月蝿い!うるさーい!仕方ないじゃない!この仕事始めたんだから!」
「何で毒見なんて・・・!!」
「うまいもの食べたいのよ!育ち盛りは!!」
「運動しろよ!」
「人の事ごちゃごちゃいうなー!」

こうして、二人の恋愛は続いている。

舞踏会で食べた食事が忘れられないシンデレラは美食を求め旅を続ける。
王子はダイエットを勧めつつ健康的な体になれと、ストーカーになってまで追いかける。

二人が結婚したのは、半年から一年後の話。
08:00  |  昔話と童話の真実  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

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コメント

メタボなシンデレラ……。
おまけにすっぽんぽん;
何この超強引な魔法(^_^;)
家までどうやって帰ったんでしょう?
でも、初対面で話が弾むほど、王子さまとの相性がよかったのが不幸中の幸い……。
いや、幸せになる昔話ですものね!
幸せでよかったです!(汗)
ライム |  2010.01.15(金) 23:21 | URL |  【編集】

おひさー。^・▽・^ わらっちゃったよー。
面白すぎてあっという間に読んじゃったって感じですにニャよ。

御伽噺もヒカルちゃんの手にかかると、ここまで楽しいお話になるのニャねー。

このシリーズ、だいすきなのニャ。また次も待ってまーすっ!
えめる |  2010.01.16(土) 09:10 | URL |  【編集】

ライムさんへ

靴が入らないという理由がやっぱこれだろ・・・なんて思ってしまいまして(^^;
すっぽんぽんでおうちまで帰りましたよ~(滝汗)
見た目ではなく中に惚れた!というオチでした~
シンデレラの方はご馳走が好きみたいだけれどっ・・・
日下ヒカル |  2010.01.16(土) 09:30 | URL |  【編集】

えめるさんへ

こんちわです~(^-^)
笑っていただけて何よりっ!
御伽噺のリメイクというのも意外と楽しいですね(^^;
元の話はどこへやらってくらいぶっ壊していますが・・・うふふ♥
次回もお楽しみに~!
日下ヒカル |  2010.01.16(土) 09:32 | URL |  【編集】

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