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第八話 新品

2010.02.18 (Thu)

そのときのウィッカの表情は中々見ものだった。
僕が初めて量の階段を上ったその日。
空は雲ひとつなく水色を描いていた。
煙草の煙が心地よい風に吹かれにおいを感じ取るまもなく過ぎ去った。
記憶を頼りに部屋の前に立ちドアノブを握った瞬間、ドアは勝手に開いた。
「…まさか!」
それがウィッカの声を直接聞いたはじめての言葉。
「はじめまして、というべきだけどね」
「…え?」

タンクトップ一枚のウィッカの後ろには、もう一人の僕が寝ていた。
あの時スカイさんの情報となった僕。
その成れの果て。

「僕は死ぬことはないから。それと、ウィッカの願いをかなえられる体に変えてきたよ」
「願い?」
「そう。君に触れることができるから」

僕は人間のように振舞った。
ウィッカは抵抗することなく、ただ淡々と受け入れまるで他人事のように。
僕はうれしかった。
僕という存在が、ウィッカにとって特別なものへの変化が感じ取られた。
きっとそういうことなんだと思う。

成れの果てはその後回収業者が引き取りに来る。
業者が来たとき、僕が応対した。
業者はさすがに驚いた様子だった。
通常業者は僕のような新品と出会うことはない。
起動確認が取れる固体と出会うことがないからだ。

「あの…起動固体ですよね」
「そうだよ」
「…はじめてみたから」
「だろうね」
「…何故」
「彼女に見せたからね。僕がデータになる瞬間を」
「え?!でも、あれは…」
「うん。きっと、僕の成長した後を知っているはず。それでも、こうやって抜け殻の僕をここまで運んで泣いてくれたのがうれしかったんだ。データとして僕に蓄積されているからね。」
「それでその姿に?」
「うん。喜んでくれたのかどうか僕には理解ができないけど」

しばらくして、寝ているウィッカの唇に触れ、そのまま部屋を出た。

「戦闘か…。随分、範囲が広いな」
「そうですね」
「スカイさんから話してくれるとは珍しいね。どうしたの?」
「ウィッカにも出撃命令が出てるわ」
「…そう。それは残念だ」
「どうするの?」

そう聞かれて僕は初めて迷った。

彼女を殺すのか殺さないのか。
僕にとっても存在は確実に特別な何かに変化してきているのかもしれない。
だがそれが、煩わしく苛々させる。

「F、聞いているか?」

08:00  |  スカイライン  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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