サイトマップ
08月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫10月

スポンサーサイト

--.--.-- (--)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

拍手する


嫌われ者の魔法使い

2010.03.23 (Tue)

とうとう独りになってしまった僕は町を離れ森の中に住むことにした。
森の妖精たちは泣かないでと慰める。
だけど僕は泣くことを止めることは出来なかった。
家族も仲間も皆、殺されてしまったのだ。

同じ人間なのに。

僕たち一族は人間だ。
ただ多くの人間達が持ち得ない力を持っている。
それが血で受け継がれる魔法。
魔法はもっとも理解が出来ない奇怪な所業であり科学では説明できないものを忌み嫌う。
それが、地上の人間だ。
僕達は血で受け継がれた魔法を存続するため日々鍛錬し呪文を覚えその力のあり方を学んだ。
抑圧や支配のために使うのではなく、生きるために使え。
それが師匠である僕たちの父の言葉だった。

「ドーリィー・・・そこをどいてくれないか」
「んー・・・?いいじゃない。一緒に寝ようよ」
「君は妖精の中でも位の高い力のある妖精なんじゃないのか?僕と一緒に居るなんてバレたら・・・」
「大丈夫よ。私はハーフなの」
「ハーフ?」
「魔法使いと妖精のハーフ」
「・・・そうだったの?」
「そうだよ。だからこうやって、あなたとも触れ合うことが出来る」
ゆっくりと起き上がり横に座っている僕のくびに手を掛け伝う様に顔を上げキスをする。
「ドーリィー!!」
クスクス笑いながらドーリィーは僕に体重をかけ横に寝かせた。
まだあどけない子供の顔を残した容姿。
けれど彼女は女だった。

朝、まだ日が登り始めた頃。
玄関を叩く音で目が覚めた。
ぼんやりとした意識の中に人間の声がした。
珍しい。
何年ぶりなんだろう。
僕たち一族を魔女狩りと称し殺したくせに。

「・・・誰?」
「起きて!起きて!森に火を放ったんだ!長老達が流行り病は君のせいだって!!」
「・・・!」
驚いて僕はドアを開けた。
そこには昔よく僕と遊んでいた幼馴染がいた。
「君か・・・」
「ごめん、僕には何も出来ない。でも今ならまだ間に合う。君なら空を飛べるだろう?!逃げて!」
「無理だ。僕はこの地を離れられない。この森は僕と同化した。だから、妖精たちも住むことができる。
僕一人の森じゃないんだ。君たちの村だって水を飲み食物を食べているじゃないか。
森を焼けば皆死ぬだけだ」
「・・・誰かのせいにしたいんだよ」
「気が済むようにすればいい。無駄なことだけどな」

思い切りドアを閉め僕はベッドに戻った。
ドーリィーは服も着ず寝ている。
下着くらい履けばいいのに・・・。

「ドーリィー、起きてくれ。君に頼みがある」
「・・・なぁにぃ?」
「約束しただろう?僕がこの森に来たとき約束したことを今実行して欲しい」
「どうしたの?」
「村の人間が本格的にこの森に火を放っている。僕を殺したいらしい」
「・・・」
「約束だ。僕のせいでこの森に被害が起きた場合、僕はこの森と命を繋ぐ代わりに君が僕を殺してくれ」
「・・・」
「行こう。約束の丘に」
「待って、あの丘はもう・・・」
ドーリィーは突然大人の妖精の姿になった。
妖精は姿を自在に変化させることが出来ると聞いていたが歳を偽るとは知らなかったな。
蝶のように羽を広げ、透けた羽には紋様がある。
その紋様は個々に特有のものでひとつとして同じものは無い。
ドーリィーは長い髪をぐるっとひとつに纏め上げ僕にキスをした。
「約束は果たせない。でも出来ることがある」
「なに?」
僕はパジャマから服を着替え魔法使いの装束を着た。
「あの場所まで飛んで欲しいの。一緒に」

あの場所とは今現在村人達が群がり火を放っている場所だった。
その場所を見るとどうやら病で倒れた人たちもいる様子。
泣いているのか叫んでいるのかわからない奇声が森中に反響している。
沢山の妖精たちも悲鳴を上げ痛い痛いと泣いている。
まったく嫌になる。

「あそこに降りましょう」
「どうするつもり?」
「あの病はあなたが原因じゃない。でも、私達が原因なのよ」
「え?」

懐かしいというより、今すぐ殺してやりたい気持ちのほうが僕には大きかった。
両親も妹もこいつらは殺した。
女はみな男に連れ去られた。
魔法が使えぬように目をえぐり手足は縛り上げ自由を奪った。
その上でなぐさみものにされた。
男は研究材料や単なる見せしめの楽しみとして拷問を受け殺された。
物好きにはなぐさみものにする男まで現れた。

僕はあの男のなぐさみものだった。
お陰で生きていたけどな。

「よくも!お前なんか!」
「死んでしまえ!!」

罵声が上空にまで聞こえてきた。
だから僕は言った。

「今すぐお前達全員を殺してやろう」

水を打ったように静まり返り恐怖の眼差しに変化した。

「僕がどれだけの魔法を使えるのかお前達は知らないだろう。教えてやる。
お前達なんか一瞬でも殺せるし、永遠の苦しみを味あわせ死を与えないようにすることも出来る。
お前達が俺の家族を、一族を殺した。
魔法にあれだけすがって生きて恩恵を受けてきたというのに。
都合が悪ければ俺を殺す?
殺してその病気にかかっているやつが助かるのか?
お前達は・・・」

「ストップ!」

ドーリィーが叫ぶと同時に僕の頭を叩いた。
・・・痛い。

「痛いじゃないか・・・」
「時間が無いの」
「どきなさい!その子供を助けたいと本当に思うのなら、今すぐその子供を置いて立ち去れ!!」
村人達は遠ざかったものの母親と父親を残し遠ざかった。
両親は怯えた顔を見せているが何かになんでもいいからすがりたい、そんな願いがあふれ出いてた。
「・・・これは・・・」
僕はその子供を見てすぐにわかった。
病の原因。
「君は妖精を・・・殺したんだね」
「え?!」
子供の両親は驚きを隠せなかった。
妖精はこの村にとって神であり、敬うべき存在として崇められていた。
ドーリィーの姿のお陰で今のところ僕は攻撃を受けていないが・・・

「妖精の恨みは消えない。僕に出来ることはひとつしかないが・・・」
「・・・お願い・・・助けて・・・」
「わかった。でも、その方法は助からない」
「え・・・?」

あたり一面に飛び散る赤い血。
一瞬にして砕け散る命。
その中から出てきた妖精の欠片。

「これが、病の原因。妖精を食べたんだ、この子供たちは」
「まさか・・・」
「妖精を食べることで魔法使いになれるんだよ。知らなかったのか?」

08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

拍手する


コメント

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

トラックバック

この記事のトラックバックURL

→http://virtualworlds.blog87.fc2.com/tb.php/665-c7cfc51b

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。