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マッサージのお店

2010.03.26 (Fri)

夜の十時に通りかかった店の前。
まさに色の付いた声といっていい音が聞こえた来た。
歓楽街というべきか、どちらかというと風俗店の多くが並ぶ通りだが
この奥に俺のマンションはある。
立地のお陰で家賃も安いがこの通りを奥にあるため、仕事帰りでもこの声を聞くことになる。
窓から時折見下ろしている女の子。
まだ高校生のようなあどけない顔をした彼女はマッサージ店からいつも顔を出していた。

「どうです?ちょっと寄って行きませんか?安くしますよ!あの子!!」

風俗店という響きに気が引けたが彼女に会ってみたいと思った。
「・・・いくらですか?」
想像していたより安い値段で前払いをして彼女の部屋に入った。
「お帰りなさい」
それが初めて声を聞いた言葉。
道路から見上げていたときよりもっと幼く感じた。
体格のせいかもしれないが。

「初めてでしょ?」
「・・・うん」

彼女は慣れた手つきで俺の服を脱がしていく。
ズボンに手が触れたとき流石にとめてしまった。

「ここはそういう店」

その通りだが・・・という思いとは反面反応してしまう自分が恥ずかしい。

「嫌なら自分で脱いだら?それとも私を脱がしたい?」

迷ったが「脱がしたい・・・」と答えた。
彼女はズボンから手を離し座っている僕の上に背中を向けて座った。
手を誘導しブラジャーの上に置いた。

「触ってもいいんだよ?」

その後、この店に通うことが月に一度あるかないか。
その度に彼女はこの部屋で相手をする。
一緒に居ることで手放したくないなどと考える自分の考えと欲望が出てきてしまった。
それを悟られたくないために通う回数は減る。

勘違い。

あくまで仕事でビジネス。
お金のやり取りと気持ちの売り買い。

そんな世界。

「やっぱり」
コンビニで昼食を買っていたときに彼女が声をかけてきた。
一瞬、誰だかわからなかった。
「あ・・・」
驚いたことに店で見るとはまったく別人の大人の女性だった。
「昼間に会えるなんて、なんか嬉しい」
ニッコリと笑う顔は本当に可愛かった。
「そこの公園で一緒に食べようよ!」
ベンチに座り同じ弁当を食べ始めた。

「本当はね、私、28歳なんだよね」
「え?!」
「見えないってよく言われるから、適当な年齢言ってるけど」
「高校生くらいかと思った」
「それじゃ犯罪だって。あははは」
「年上だったんだ・・・」
「え!?年上だったの?!私」
「俺、23だから」
「うわっ!若っ!!」
暖かいペットボトルのお茶を飲みながら彼女は普段どおりの様子で話す。
俺はというとスーツを着たいつもの姿。
きっと、彼女にとって客の一人でしかない。

「勘違いしちゃ生んだよねぇ~私って」
「え?」
「お客さんって思わなきゃぁ~って思うんだけどさ、いつも君を上から見てた。
時にはしょんぼりしたり、時には酔っ払ったり、時には私を見たりして
なんか毎日戦ってるの。
部屋に来てくれたとき本当に嬉しかった。
だから、勘違いしちゃうんだ~」

勘違いじゃないと言いたかった。
伝えたかった。

お金で取引していた間柄を壊すほどの何かを持っているのか不安が走った。

言葉では足りない。
でも言葉しかない。

「うまくいえないから」

俺は初めて彼女にキスをした。
ゆっくりと。
離れたくない、その唇からは俺の涙の味と彼女の涙の味がした。

「お帰りなさい」

その声を聞くのが俺の部屋になったのは一年後の話。




08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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