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聞こえてくる歌

2010.06.24 (Thu)

もう誰も住んでいないはずの洋館から聞こえてくる歌。
仕事帰りの真夜中に。
気味が悪いとしかいえない状況だけれど、なんとなくその歌声が心地よかった。
まるで、手招きをしているかのような声にうっとりしていた。

「聞えているの?」

その歌が急に止まった。
聞えてきたのは僕に向かって話す言葉。

「・・・」

僕は返事をしなかった。
いや、僕は返事ができなかった。

声を失ったから。

「おいで」

怖かった。
でもその声は優しかった。

ゆっくりと玄関に向かうが、もう何年も人が入った気配がない。
古びた洋館。
枯葉が気味の悪さを余計な演出として盛り上げる。

怖い

「二階へどうぞ」

よく見ると奥に階段があった。
靴も脱がずに僕は玄関から部屋に入りそのまま階段へ向かった。
月明かりしか頼れる明かりはない。

「どうぞ」

長い廊下を歩いていると、突然ドアの置くから声が聞えた。
開けようか、迷った。
開けてしまったら戻れなくなるような気がした。

歌だ。

歌が聞える。

綺麗な歌声。

僕に似た声が聞える。

「そうだよ。私はあなたの声」

声?

「うん。あなたは声を失ったんじゃなくてなくしちゃったの」

無くした・・・

「もう話したくないって思っちゃったから私はあなたの中から飛び出たの」

話したくないと・・・思ったよ。
もう何もかも忘れたかった。
全部なくして忘れてしまいたかった。

僕は、もう一人だから何もかもなくしてしまったから
二度と人と関わりたくなかったんだ。

「でも、寂しいんでしょう?」

寂しい?

「歌は空気になるの。歌は気持ちなの。あなたの歌は悲しい歌。でも、幸せを願う歌」

幸せになれるものなら、戻りたい。

あの時間を取り戻せるのなら。

「そうだね、あなたは悪くない。でも、周りが許さなかった」

うん

「でも大丈夫。もうすぐ何もかもあなたを迎えに来る人がいる。その人を信じて」

迎え?

「そう、さぁ歌って。あなたの歌を」

僕の歌

声が出ないのに僕が歌うの?

「大丈夫、私はあなたの声だから」

心で歌って

大好きなあなたを思う

届かない想い

届かない願い

忘れないで

ここにいたことを

忘れないで

生きていたことを



08:00  |  短編小説  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

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コメント

僕の声は…

林原めぐみに演らせたいっ!

主を失った声は何処へ行くのだろう…?

カゼノオ~ |  2010.06.24(木) 10:08 | URL |  【編集】

カゼノオ~さんへ

林原世代ですよねwww
最近の声優さんはいっちょん知りませんww

声を失った主は、時空の境目みたいなところに居たので現実に戻りました!
日下ヒカル |  2010.06.24(木) 19:22 | URL |  【編集】

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