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ANDIS mission 1

2010.10.14 (Thu)

レンガ造りのアパート。
錆びたアパート名のローマ字が辛うじて飾りとして機能している。

「203ってどこ?」

見当たらないその部屋番号に首をひねっていると、煙草を咥えた学生さんらしき人と目が合った。
「もしかして、203の人?」
「・・・はい」
「あぁ、ならわからないよね。203なんて無いから」
「は?!」
「こっち」

学生さんについていくと彼の部屋らしき玄関前にたどり着いた。
「あの・・・」
「ちょっと大家さん旅行に行ってるから、しばらく帰ってこないと思うよ」
「え?!でも、私今日引越しだってわかってるし・・・」
「そういう人なんだよ。引越しや来ちゃうから、俺の部屋のベランダから入って玄関開けるしかないね」
「そんな事できるんですか?」
「あぁ、このアパートベランダが繋がってるから出来るんだよ」
「防犯上ありえないですね・・・」
「あれ?広告に書いてなかった?近所の繋がりと助け合いの精神が必須ですって」
「あぁ、あれ。確かに書いてありました」
「そういうこと」
「そういうことって・・・」

彼が玄関を開け部屋に入っていくと手招きする。

「お邪魔します」
「こっち。ベランダ」

想像以上に物が無い部屋で、生活感の無い空間。
畳まれた洗濯物が視界に入ってしまう。
目を逸らしつつベランダに出た。

「へ?!」

そこは驚いた空間で、とてもベランダとは思えなかった。

「これが、必須条件」

同フロアの住人の洗濯物をたった一人の女性が干していた。
「あら?新入りさん?こんにちは!」
穏やかな笑顔を見せる女性。
「こんにちは・・・」
「どちらのお部屋ですか?」
「203です」
「え?!203・・・?」
「はい」
「えっと・・・」

女性は悩んだような困ったような顔をしている。
どこにそんな要素が?

「203だから、あいつと相部屋って事だよ」
「あ・・・そういうことなのね」
「相部屋?!そんな事聞いてないですよ!」

驚いた。

ルームメイトが居るなんて聞いていない。

「うん。言ってないと思うよ。大家さん、すげーのんきな人だから」
「いやそんな簡単に・・・」
「大丈夫。あいつ、女に興味ないから」
「そういう問題じゃなくて!」
「契約書にどんな条件も了承する代わりに家賃は五百円って馬鹿みたいな書類にサインしたあんたの責任だよ」

何も言い返せなかった。

そう、家賃が五百円という格安の家。

家出少女の私にはもってこいだ。
といっても、家出をしたくてしているわけではないのだけれど。

「で、そのお馬鹿さん。お名前は?」
「相野ヶ原 司です」
「司?」
「はい」
「女の子だよね?」
「はい」
「珍しいね。じゃぁ、司。これあげる」

握られた何かに対して手を差し出した。
手のひらに落とされたキーホルダー。

「それが、司専用」
「決まってるんですか?」
「うん。前住人から置き土産」
「え?前に住んでいた人から?」
「そう。馬鹿は司一人じゃないんだよ」

そういうと大学生の彼はちょっと寂しそうな顔をしてみせる。
わけありって事だろうか?

「ところで、あなたのお名前は?」
「田中 律」
「田中さん」
「律」
「律さん・・・?」
「そう。それが決まり」
「はぁ・・・」
「ところで、会社はどこに勤めてるの?」
「いえ、私まだ学生です」
「え?そうなの?みえなかった?どこの大学?」
「いえ、中学生です」
「は?!」

老け顔の私はいつもこうだ。
引越しやさん遅いな。
部屋もどこかわからないし、いきなり相部屋だし、不安いっぱい。

どうしよう。

私は今日からここに住む。
人生初めての一人暮らし。

そして、人生初の仕事は年齢詐称します。
14:34  |  ANDIS  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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