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ベランダの世界

2011.04.24 (Sun)

明日仕事だというのに寝付けない。
寝返りを打ちながらも寝る努力を試みるが、寝付けそうに無かった。

見慣れた天井。
なれない照明。

いつもの、溜息。

「タバコでも吸うか」

時計を見ると既に二時を回っている。
おきっぱなしにしたタバコを探す。
見つけてはまた探すライター。

大抵、机の上かスピーカーの側。

明日は出張で六時に起きなければならないというのに、どうしてこういうときに限って寝付けないんだろう。
遮光カーテンを開け鍵に手をかけたとき目の前にあるアパートの玄関が開くのが見えた。

こんな時間に?

鍵を開けベランダに出ると二階から見える小さな景色のなかでオレンジ色に光るひとつの部屋が目立つ。
真夜中の二時に来訪者というのは珍しい。
若い女が中年の男性が部屋に招き入れられ、溢れんばかりの笑顔を見せる。
玄関は閉めら、小さな窓が開けっ放し。

部屋の中は見えている。

興味があるわけではないが目が追ってしまう。
部屋の中で行われるのは愛の無い行為。

もしかして・・・。

予測通りお金を渡されると女の行動は激しくなる。
男はただ目の前にある食料を食い漁る動物のように見えた。

淡白な関係。

昔は身売りなど誰が好き好んでした女など居たのだろうか。
吉原なんて言葉は誰でも聞いたことがあると思うが、
遊女という存在は大抵が借金が払えない親が娘を売り飛ばす場所だったはず。
娘達は終わるはずの無い借金を背負わされ、吉原で春を売る。
病気になれば治療などされることなく捨て置かれ、死んでしまえば寺に投げ込むだけの存在。
確か死体と十円を投げ込むから十円寺とかいうのではなかっただろうか?

そんな物に自ら落ちるのだ。

性病なんて関係ないのかな。
病気の恐ろしさもさることながら理性を取得した生き物にとって感情は重要な要素だと思うが、それを超えさせるお金という存在は人を滅ぼす魔物なのだろう。
とはいえ、仕事しないと私も食べていけないし家賃も払えない。
その現実は変わらないから手段が違うだけだといわれればそれまでだ。

安定した職種として選んだ公務員。
ただ、その中で感じるのは私の苦労した学生生活はこんなものになる為だったのかと自問自答の日々。
よくわからない進む将来に不安が無いといえば嘘になる。

正反対の彼女は今の人生をどう感じて生きているのだろう。

眠れない朝を向かえ出張の身支度を整えた私は家を出た。
偶然、あの女性が玄関から出てくる。
一瞬私はハッとした顔をしてしまったがやり過ごそうと目線を誤魔化した。

「二階の人でしょ?」
「え?」

まさか見られているのはこっちも同じだったとは。

「私がしてるの見てたんでしょ?」
「・・・いや」
「見てたのを責めてるんじゃないんだ。聞きたかったんだ、まともな人生の人に」
「は?」
「あなたは普通に会社勤めで生きてるんでしょ?それって楽しい?安定した収入で生きて幸せ?」

聞きたかった。

私が彼女に聞きたかったこの質問に私が答える事になろうとは。

答えが出なかった。
私はどう思っているのか。

「私はね、幸せだよ。愛されてるもん、その時だけは私を見て私だけを感じてくれてるその瞬間が幸せなの」

そういって笑った「カオル」と名乗った女性は幸せそうに見えた。
褒められた人生でもうらやましいと思う人生でもないが、人は幸せを手にするとこうなるのかと感じた。


同じ空の下にいるというのに。


テーマ : 超短編小説 - ジャンル : 小説・文学

21:44  |  ANDIS  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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